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2007年01月21日

●第200話(時計店店頭の今昔)

昭和45年頃、店頭にご来店のお客様は、ほとんど購入時計を何々が欲しいと指名で来られました(そう言う意味では接客が非常に楽でした)。大まかな記憶では70%の方はセイコーを買われ、20%の方がシチズンを買われました。残りの10%をオリエントかリコーをお買い求めいただきました。セイコーでないとイヤだというお客様は圧倒的に沢山おられました。

それほどまでにセイコーの人気は高く、寡占状態でした(時折、他社が販売キャンペーンをやり、その期間中に腕時計を販売するとバックマージン数%おこしてくれるときなど敢えてシチズン、オリエント、リコーなどを薦めたりするとお客様からお叱りの小言を言われたりしたものでした。『なんで、SEIKO を奨めないで他のを奨めるのか』と)。

30年過ぎた今ではセイコーを指名で買われるお客様は当店では1割にも満たない僅かになってしまいました。過去においてセイコーが何故、ここまで販売シェアを伸ばせたのか、その原因は価格が良心的であったことや、精度がよく、修理が他社と比較して容易であっとことなどが挙げられます。販売戦略・広告宣伝が他社よりも上手かった事も挙げられるでしょう(そう言えば昭和30年代初頭、テレビ民放で最初にテレビコマーシャルをしたのは松下電器、東芝、日立でもなく精工舎の置き時計でした)。

シチズンはセイコーよりも一般的に部品数も多く、組立調整も手間がかかるというものでした。リコ時計ーなどは私は個人的には嫌いな方でなかなか調子がでない機械であった記憶があります。でもデザインはオリエント・リコーに秀逸なものがありました(当店に持ち込まれる昭和30年~40年代の時計の修理依頼はほとんどがセイコーで占められていることからも解っていただけると思います)。ロレックス、OMEGAには人気のシリーズがずーと有りますがセイコー・シチズンには今ではほとんど無いのが寂しい気がします。

最近セイコーにメカ式GSが人気出てきたのが嬉しい限りです(特に手巻きのSBGW001は人気が凄く納品6ヶ月待ちという状態が続いています。)これからも、セイコー・シチズン・オリエントには人気のメカ式シリーズを掘り起こして欲しいと願っています。

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第197話(先生のタイプについて)
第196話(経験と勘と理論について)
第195話(婦人用GSについて)
第194話(セイコー卸商について)
第193話(時計技術叢書)
第192話(時計技術習得について)
第191話(プラスチック樹脂歯車)
第190話(独立時計師アカデミーについて)
第189話(メカ式GSの精度・続編)
第188話(メカ式GSの精度)
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第185話(トゥールビヨン)
第184話(『ランゲ&ゾーネ』についてNo.2)
第183話(Ω『コーアクシャル(共軸脱進機)』について)
第182話(最近の「ショパール社」の動向)
第181話(ユリス・ナルダン(ミケランジェロ))
第180話(初代・自動巻のGS(グランド・セイコー))
第179話(セイコーU.T.D(ウルトラ・シン・ドレス))
第178話(帯磁について)
第177話(本年度・時計技術通信講座終了) 
第176話(ドイツ産の他の腕時計メーカー)
第175話(時計油2)
第174話(ETA7750・クロノの修理)
第173話(セイコー・スプリング・ドライブについて)
第172話(ランゲ&ゾーネ社について)
第171話(北海道へ)
第170話(もう一方の20~30万円台の名機)
第169話(歌『大きな古時計』)
第168話(20~30万円台の名機)
第167話(なぜメカ式を買うべきか)
第166話(我が愛するセイコー舎へ)
第165話(カルティエについて)
第164話(クィーンセイコーについて)
第163話(京都の女性からの電話)
第162話(くわばら くわばら)
第161話(日本の時計産業の中心・諏訪地方)
第160話(ユニバーサル・ポールルーターについて)
第159話(セイコー・ローレルについて)
第158話(初代グランドセイコーNo.2)
第157話(ヒゲ棒)
第156話(冷や汗)
第155話(NHK番組)
第154話(現存するスイス・エボーシュメーカー)
第153話(セイコー・シチズン社の動向)
第152話(ETA社のメカ式・ムーブメント達)
第151話(おもしろい自動巻き)
第150話(IWCの新作について)
第149話(時計の蘇生について)
第148話(時計の天敵)
第147話(初代GSの修理依頼)
第146話(ヒゲゼンマイについて)
第145話(売れる長持ち商品・背景は)
第144話(受け取らない修理完了品)
第143話(ゼニスよ、お前もか)
第142話(サインのつらさ)
第141話(機械式時計の精度)
第140話(セイコー技術講習会)
第139話(クロノグラフの修理について)
第138話(何と言っていいやら・・No.2)
第137話(IWC・GSTアラームの修理について)
第136話(何と言っていいやら No.1)
第135話(ヒゲゼンマイの調整)
第134話(昭和初期の時計店の風景)
第133話(良心的なスイス時計)
第132話(職人の手の速さ)
第131話(時計材料店について)
第130話(如何にしてアンティークを安く買うかその方法)
第129話(以前の時計店店頭の風景)
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第125話(シチズンの名作・女性用小型自動巻について)
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第108話(ETA社クロノグラフ・ムーブ7750について)
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第103話(オメガ女性用メカ式腕時計について)
第102話(高級アンティーク腕時計の修理依頼)
第101話(高級アンティーク懐中時計の修理依頼)