« 第182話(最近の「ショパール社」の動向) | | 第184話(『ランゲ&ゾーネ』についてNo.2) »
« 第182話(最近の「ショパール社」の動向) | | 第184話(『ランゲ&ゾーネ』についてNo.2) »
2007年01月21日

●第183話(Ω『コーアクシャル(共軸脱進機)』について)

伝統のあるオメガ社が、新機構の脱進機『コーアクシャル(共軸脱進機)』を搭載した魅力あるΩ・デビル腕時計を矢継ぎ早に発売し出しました。この脱進機『コーアクシャル(共軸脱進機)』は1977年、天才時計師ジョージ・ダニエルズが発明いたしました。商品化するまでに四半世紀の時間が必要だったわけです。

18世紀にトーマス・マッジがレバー脱進機を発明して以来、初めて登場した全く新しい仕組みの脱進機です(裏スケルトンになっているタイプもありますが、残念ながらその動きは拡大鏡ルーペで見ても地板で隠れて見えません)。この脱進機の特徴は、エネルギーを伝達させるパーツ間の摩擦を大幅に減らす事によって、従来のクラブツースレバー脱進機よりも、長期間にわたって安定した精度が維持されるという事です(OHする期間が倍に延びたと言われていますが、他の歯車・輪列機構は同じですので、ある程度、期間・7年以上が過ぎればやはりOHの必要があるのではないでしょうか)。

また、この脱進機に接触しているオメガのフリー・スプラング天府が相乗効果を生んで更に精度を高めています。このフリー・スプラング天府は ROLEXの天府と似ていますが、平ヒゲゼンマイを採用しています(ヒゲゼンマイの外端も理想に近い終末曲線を描いております)。天輪・天真への衝撃を和らげる為に4本のアミダを持ち、微細精度調整が出来る2個のマイクロスクリュー(ミーン・タイムスクリュー)を持っています。

ヒゲ玉にも工夫を凝らし、従来の割れ目があるヒゲ玉を採用するのではなく、ニヴァトロニック型でテンプの片重りが出来にくい形をとっています。 ROLEX式を真似たのではないのでしょうが、ヒゲ棒がなく、その為に天府運動(ヒゲ伸縮)によるヒゲゼンマイのヒゲ棒接触変化による精度変動を無くしている為に、等時性に優れています。
しかし、本当に正しい評価をされるのは発売後5年過ぎてからでしょうか?

<オメガ・デビルのコーアクシャル新キャリバーの紹介>
・Cal.2500・・・時、分、秒、日付機能付き自動巻クロノメータームーブメント。コート・ド・ジュネーブ仕様され、ロジウムメッキで美しく仕上げされています。地板はベルラージュ仕上げが施されています。公式COSC検定に合格し、クロノメーター規格も取得。28,800振動。27石。

・Cal.2628・・・時、分、秒、日付、GMT機能付き自動巻クロノメータームーブメント。
24時間針第二の国の時刻を表示します。海外旅行中、出発地と到着地の時刻を瞬時に判別できます。28,800振動。27石。公式COSC検定に合格し、クロノメーター規格も取得。

・Cal.2627・・・時、分、日付機能付き自動巻クロノメータームーブメント。9時位置にスモールセコンド、6時位置にパワーリザーブを表示。この時計のパワーリザーブは44時間です。28,800振動。27石。公式COSC検定に合格し、クロノメーター規格も取得。

これら上記の新キャリバーは、ETA社キャリバー2892A2を基本として進化させた優れた『コーアクシャル(共軸脱進機)』エスケープメントです。