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2007年01月21日

●第159話(セイコー・ローレルについて)

最近、1996年発売の復刻版セイコーローレル(Cal.4S24A)を修理しました。
『ローレル』と言うブランドは、精工舎が大正2年(1913年)に初めて腕時計を発売した時計に付けた、由緒ある歴史的な名前です。その時、文字板には「SEIKO」の文字はなく、「LUREL」ローレルの文字がどーんとありましたが、しばらくして1924年、「SEIKO」ブランドの腕時計が発売されてから、ローレルのブランドは消滅したのです(精工舎にとって思い入れのある、おろそかに出来ない名前だと思います)。

そして長い休眠後、昭和33年(1958年)に中3針のローレルが復活し、そして3度目の復活が1996年のローレル手巻腕時計だったのです。今回のニュー機械式ローレル腕時計の分解掃除調整をするにあたり、現在のSEIKOの若い時計設計士がどのようなムーブメント作りをしているか、ものすごく興味津々でした。

分解する途中、どこかで巡り会った事があるような、懐かしい思いが起こるような機械だったので、記憶をたぐり寄せてみますと、キングセイコー・クロノメーター(Cal.52系)と輪列・日の裏機構・ゼンマイ巻き上げ機構・ハック機構がほとんど同じであることに気が付きました。その事がハッキリわかり、もっと斬新な新機構のムーブメントだと思っていたので少し残念に思いました(受地板をグラスヒュッテ特有の4分の3・スケールプレートにして綺麗にまとめてはいましたが)。

このCal.4S24Aにパワーリザーブ針を付けて発売されたのがCal.4S79で、クレドール(GCAY990定価33万円)に搭載されて発売されました。おそらく機械の系譜から推測すると、このローレルは諏訪セイコー(現セイコー・エプソン)ではなく第二精工舎(現・セイコーインスツルメンツ)で製造されたものではないでしょうか?