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2007年01月21日

●第160話(ユニバーサル・ポールルーターについて)

修理実績にユニバーサル腕時計(Cal.69)を載せてから、ユニバーサルの修理依頼が時折来るようになり大変嬉しく思います。

以前に話しましたが、私はユニバーサルが旧インターナショナルと同じくらいに大好きで、ユニバーサル・ホワイトシャドーを常日頃、愛用してきました。私がユニバーサルが好きな理由は、薄くて軽くて精度が良くて、機械の作りが美しく、自動巻き機構が独自のものだったからです。特にクロノグラフに優れたものが多いのが特徴で、ゼニス・エルプリメロよりも勝るとも劣らない秀逸さがありました(現今のあからさまな儲け第一主義の一部のスイス時計業界にはない良心的で地道な社風も好きでした)。

ユニバーサルのかつての日本輸入代理店は、同じように良心的な社風の(株)村木時計で、そこで私は1年間、時計技術の通信教育を受けました。(株)村木時計・技術顧問の、米国時計学会ヘイガンス賞受賞・菅波錦平先生には大変お世話になりご指導を受けました(私は時計技術の基礎及び修理の心構えを菅波錦平先生に教わり、時計技術の基礎理論を行方二郎先生に教わり、時計旋盤・CMW受験のための基本を加藤日出男先生に教わりました)。ある意味で恩返しではないですが、ユニバーサルを愛用した理由の一つでもあります。

ユニバーサル社は1894年創業の歴史がある由緒ある時計会社です。
ユニバーサル社が製造してきた主な時計をここに列挙してみたいと思います。

時計マニアの方の垂涎の的とも言えるクロノグラフがあります。『ユニバーサル トリコン・パックス』がそうです。月齢・曜日・日付け・ストップウォッチ秒メモリ・ストップウォッチ分メモリ・ストップウォッチ時メモリのフルカレンダー付きで、耐震・耐水・耐熱・耐寒・耐磁・耐圧機能付きのフル装備でした。1963年に発売され、当時の価格で109,000円した高級機種でした(1960年発売の初代グランドセイコーがその当時25000円でしたからその4倍の価格でした。現在の価格に換算したら130万円くらいでしょうか?)

ロレックスのサブマリーナに匹敵する人気の防水時計がユニバーサル社にもありました。『ポールルーター・サブ』がそれで、200mの深海の水圧に耐える、スキンダイバー用の腕時計でした。この時計は秀でた防水性能・耐久性からアメリカ海軍にも公式採用された信頼のおける時計でした。40年前で 77,000円しました(今もそうですが、本当に良いスイス高級時計は当時も高かったですね)。

愛用したホワイトシャドーもそうでしたが、『ポールルーター・デイト』もマイクロローターを採用した、当時で世界で一番薄い自動巻き腕時計でした。ローターはプラチナとほとんど同比重の特殊金属を使用していた為に、自動巻き上げ効率は素晴らしいものでした。自動巻き・中3針・カレンダー付きで、厚さはわずか4.1mmでした。ゼンマイが一杯巻かれた場合、駆動時間は実に60時間と言う驚くべき設計がされていました。1964年の当時の価格で、 68,000~89,000円しました。

ユニバーサルのドレスウォッチには人気の『アルテッセ』と言うシリーズがありました。手巻きで17石、ムーブの薄さは2.45mm、直径は19.4mmの超薄型でしたが、非常に精度の良い時計で、いろんなデザインのおしゃれな時計がありました。
当時の価格で、60,000円前後しました。

願わくばユニバーサル社もブライトリング社のように見事に復活して欲しいと思っております。世界中にはROLEXに負けないユニバーサルの熱烈なファンの方々が一杯おられるものと想像します。