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2007年01月21日

●第155話(NHK番組)

昨日、NHKで朝、放送された番組『スイス独立時計師達の小宇宙』を皆さん見られましたか?非常にイイ番組でしたので、一時間余りがアッと言う間に過ぎてしまいました。

特に、フィリップ・デュフォーさんの時計工房には目を見張るものがありました。個人であれだけの時計工具を揃えられた事は、やはり歴史のある時計王国スイスに生れ住まわれている事がどれだけ有利に作用したかわかるものです。

私も時計修理に長年携わってきて、ほとんどの時計修理工具を持っていますが、あれだけの時計工具を揃えられたデュフォーさんが羨ましく感じました。

デュフォーさんが番組の中で、時計は所有者と会話を交わすような愛着が覚えるものである、と言われてましたが、全くの同感です。特に手巻き時計は、リューズでゼンマイをまかなければ動かないのですから、毎日必ず1回は時計と向き合う必然性があるのです。フィリップ・デュフォーさんの手巻きの時計を1本持ちたいのですが、高くて手が出せないのが残念です。

最近、スイス時計業界は複雑時計を競って開発して売り出していますが、デュフォーさんが言われていたように、長持ちして愛着を覚える時計は、やはり複雑時計ではなくて、シンプルな手巻き腕時計が一番いいと思います(何と言っても手巻腕時計は故障の原因が少なくて、長寿命だからでしょう)。

もう一人のアントワーヌ・プレジウソさん作のダイヤを散りばめたスターダスト・トゥールビヨン腕時計は、宝飾時計として素晴らしい輝きを持っていましたが、個人的には私はあまり好きにはなれない腕時計でした(成金趣味の時計のような感じがして厭味を感じたのは私一人だけでしょうか?)。そういえば、当店担当のユーロ・パッションの営業マンT君はトノー型のプレジウソをはめていました。

この番組は6月18日夜にハイビジョンで放送されました。4月、NHKのK氏からこの番組に対しての協力申し込みがありましたが、修理・営業等で大変で、お断りしたいきさつがありました。この番組を見て、素人の方が時計をわかりやすく説明・制作されていた事に敬意を表したいと思います。以前に民放が『スイス時計紀行 永遠の時を求めて』を昨年放送しましたが、それと比較して、数段上の素晴らしい番組でした。