« 第146話(ヒゲゼンマイについて) | | 第148話(時計の天敵) »
« 第146話(ヒゲゼンマイについて) | | 第148話(時計の天敵) »
2007年01月21日

●第147話(初代GSの修理依頼)

グッチとインターナショナルの修理をしたK市の女性から、今度は初代グランドセイコー手巻き腕時計(80ミクロン金張りケース 諏訪精工舎製 Cal、3180 5振動のロービート 25石 社内検定クロノメーター規格 名品セイコークラウンの姉妹品と言えるでしょうか)の修理を受けました。

実家に帰られた折に、時計の話が出て、その女性のお父様が初任給をもらったお金を貯めてグランドセイコーを買った話が出てきたのです(1960年発売で当時の価格で25000円、大卒初任給の2倍の高さの高級機種でした)。あっちこっちの時計店やセイコー時計会社に修理を依頼しても断られたので、長い間、もう完全にあきらめておられたのです。その女性がお父様から時計を預かって、当店に持って来られたというわけです。

中の機械を見たら、どこも断ったのが分かる状態でした。コハゼバネ折れ(代用品で可能)・三番車下ホゾ折れだったのです。三番車は、セイコーに問い合わせてもすでに在庫がなく、 『ホゾ入れ』をしなくては直らない代物だったのです。

セイコーの記念的な初代グランドセイコーなので、何とか元通り動くよう修理したいと思っています。この初代グランドセイコーはアンティーク・ショップで24万円前後という高値で取引されています。

最近、初代キングセイコー等の40年程前のセイコー腕時計の修理をしますが、 どれも何十年と動いてきたにも関わらず、OHをすれば見事に精度が蘇るのに感動します。後日、このGSは皆様に『修理実績のコーナー』でご披露したいと思います。