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2007年01月21日

●第148話(時計の天敵)

時計の天敵と言えば、水(湿気)、衝撃(落下)、磁気でしょうか。
その中で一番の強敵が、水(湿気)でしょう。

「医者の不養生」ではありませんが、時計に携わっている私でも過去に愛機ユニバーサルの腕時計を2個錆びさせてダメにしてしまいました。30年程前、給料5万円位の時に10万円前後したユニバーサル・ホワイトシャドーを2個ダメにしてしまい、今思えば、慙愧の念に耐えません(止まって気が付いて裏ブタを開けてみたら全体に錆がガン細胞みたいに覆っていました。それ以来私は防水であろうとも水には絶対浸けないようにしています。一度錆びたら取り返しがつかなくなります。送られてくる修理依頼品の場合、錆がひどい時は悪いですがお断りをしています。それほど錆は機械式にとって致命傷なのです)。

私がユニバーサル・ホワイトシャドーが好きだったのは自動巻きにもかかわらず薄型で軽く仕上げていたからなのです。

最近、ユニバーサル・ポールルーター(北極圏飛行者)自動巻き Cal.69 28石PAT+329805+のOHしましたが、私が持っていた時計と同様のマイクロ・ローター搭載の自動巻きでした。この方式は最近見直され、パティックフィリップ、ショパール、ランゲアンドゾーネ等の会社が新設計のCalを自社開発して売り出しております。この方式の魅力は何と言っても薄く,軽く自動巻きが作れるからでしょうか。それと見た目がとても綺麗にムーブメントが仕上がるからです。

ユニバーサル社の特許が消えた今ではどの時計会社も気楽に参入できるのでしょう(一世を風靡したユニバーサル社の最近の商業活動が見えませんがどうなってしまったのでしょうか?ユニバーサル・ファンの私は寂しい気がします)。

100m200m防水の腕時計でも錆びているのによく当ります。常日頃から出来うる限り水には浸けないようにご使用いただくと腕時計は何十年と寿命が持ちこたえられます。あの堅牢なROLEXオイスターケース、200m防水をうたったタグホイヤー、オメガでも錆びた時計のOHを請け負います。スイス高級時計をお持ちの皆さんも水には十分注意してご使用していただけたら時計職人としてこんな嬉しいことはありません。