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2007年01月21日

●第145話(売れる長持ち商品・背景は)

4月10日NHK番組『クローズアップ現代』で売れる長持ち商品・背景は、の特集をしていました。その中で、シチズンのフラッグシップモデル、『ザ・シチズン』クォーツ腕時計の事が取り上げていました。10年間無償保証、生涯修理対応の画期的アフターサービス体制を取材していました(これは本当に画期的な事でしょうか?)。

この番組を見て少し大袈裟だなと思いました(シチズンの方には失礼かもしれませんが)。メカ式ならとうの昔から一生ものなのですから。懐中時計なんか100年以上過ぎたものでも正常に動くものがあります。きちんと定期的に分解掃除を腕の確かな時計職人にかかっていれば、60年以上に使用に耐えられるのがメカ式です。消耗パーツの竜頭、風防、パッキング、のみ確保(代用品でも可)してあれば、ほとんどの部品は旋盤でベッサクができます。

一方、クォーツの場合はゼンマイ(強力なトルク)が入っていないために、歯車・地板等が薄く軽く弱く(プラスチック樹脂を頻繁に使っています)作っても大丈夫のようですが、耐久性に疑問があるのではないでしょうか?ROLEX等の機械式と違ってクォーツの歯車の強度は問題にならないくらい小さくて薄くて弱いように思います(小さくて薄くて弱くても使用するのに影響がないのでしょうが)。メカ式のテンプにあたるステップモーター(永久磁石付き)が全てプラスチックで作ってある物に当りますが、洗浄に大変神経を使います(逆に言えば、洗浄しないほうがかえってイイくらいの代物です。誤って超音波洗浄器で洗ったら、微細な鉄粉が着いて取り返しがつかなくなります)。ピンセットで持てばすぐに形状が変形してしてしまうからです。

シチズン・クラブ・ラメールのクォーツのステップモーターはプラスチック樹脂で出来た
非常に繊細なパーツ(ステップモーター)でした。クォーツには電子回路・コイル等のパーツがありますが、これらはメカ式と違って耐久性がよくありません。そういう点から言えば、『ザ・シチズン』クォーツ腕時計は長寿命保証の時計といえるかもしれませんが、メカ式と比較した場合全然、命の長さが違います。

しかし、クォーツ腕時計ファンの人々にとって大変魅力のある、『ザ・シチズン』クォーツ腕時計です。