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2007年01月21日

●第107話(スイス時計ジュベニアについて)

昭和30年代~40年代には、どの時計店にもジュベニア・エニカ・シーマいう当時のスイス時計御三家が沢山置いてあったのです。その中でもジュベニアが群を抜いてデザインも良く、薄型のイイ機械が入っておりました。価格もリーズナブルで国産より少し高かった程度でした(ラドー・テクノス・ティソット等の台頭により、日本時計市場から悲しいかな、消えゆく運命でした)。

ジュベニア時計会社は、1860年にスイス・ラショードフォンにて創業致しました。
ROLEXよりも古く、ゆうに140年の歴史がある由緒ある時計会社です。

最盛期には500にものぼるデザインの時計を製産しておりましたが、年間製産本数は8万本前後という少数精鋭でした。どれもが魅力に富んだイイ腕時計でした。

最初は手頃な懐中時計を専門に作っておりましたが、スリムスタイルを特徴として、シンプルで美しい腕時計を作り始めました。特に1,71mmという極薄のムーブメントを開発してゴールド・ウォッチを売り出したり、アメリカの金貨を採用したコイン・ウォッチは、コルム時計と共に世界中から絶賛を浴びました。

このジュベニア時計が日本に初めて輸入されたのは以外と古く、何と1904年明治37年のことです。それ以来、玄人好みの時計として日本人に長く愛用されてきました。中高年の方には非常に懐かしい響きを持った時計だと思います。最近になって、新型がちょくちょく日本でも見られるようになりましたが、デザインはやっぱり40年前の物とよく似ており、一見してジュベニアと解るものです。