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2007年01月21日

●第106話(女性用グランドセイコーについて)

1968年に第二精工舎より製造発売された、女性用グランドセイコーについてお話しいたします。

この機械は手巻きのCal、1964Aで19,6×12,9mmという、やや小型サイズにもかかわらず、世界初の婦人用高振動(10振動)のクロノメーターでした。精工舎がただ1回だけ作った女性用のGSです(そのころROLEX社もWGやYG側の婦人用手巻き腕時計を沢山作っておりましたが、価格が当時で15万円前後いたしました。とても一般の方が容易に買える金額ではありませんでした。殆どが手巻きの小型の2針のムーブでした)。

精度に固執する女性時計ファンにはもの凄い人気がありましたが、需要の絶対数が少ないために、この女性用GSは市場から割と早く消えてゆきました(女性の方は中の機械のことよりデザインを優先しているために、やや小型と言えども他より大きいために多様なデザインが出来得ませんでした)。

精工舎がただ一つだけ生産した女性用GSとして、燦然として時計の歴史に名を留めております。私がこの業界に身を置いた30年前はメカ式腕時計の熟覧期で、本当に素晴らしい機械がいっぱいありました。懐古調趣味なのかもしれませんが、ROLEX・JL・AP・PP・VC等を除いたら昔の機械の方がある一面で優れていたのではないでしょうか。