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2007年01月21日

●第105話(セイコー・ムーブメント56系について)

1968年に発売された、セイコーロードマチックに搭載された56系のムーブメントは、61系のGSのムーブ・45系(手巻き)のKS・GSのムーブと共に精工舎が製作してきた、いろいろなムーブの中でも代表する機械の一つでしょう。自動巻デイデイトにもかかわらず薄型で、部品数が極めて少なくてコンパクトに設計されていて、分解・組立・調整しやすい機械です。6振動にもかかわらず非常に安定した精度を維持しておりました。ガンギ歯数を増やすことにより、8振動の高振動化してキングセイコー(Cal5626)、グランドセイコー(Cal5646)が派生的に生まれてきました。普及版のロードマチックでも、腕のいい時計修理職人が時間をかけて微調整すれば、KS・GSに匹敵する精度がいともたやすく出ました。

私が今まで修理してきた30年間で、どの時計のムーブよりも一番多く修理してきたに違い有りません。

ゼニス・エルプリメロのムーブが復活したように、精工舎のムーブで45系(手巻き)・56系(自動巻)・61系(自動巻)のムーブメントの復活を熱望してやみません(マイクロフィルムで設計図が残っているのに違いないのですから、再生産は簡単でしょうか?)。ハッキリ言って現在クレドールに搭載されているキャリバー4S系よりも上を行くものと、私見ですが思っております。

特に45系(手巻き)・56系のムーブの復活を渇望いたしています。45系(手巻き)は美しさも格別ですが、精度はメカ式ではセイコー史上過去最高の日差-2~+2秒というとてつもない精度を誇っておりました(携帯して実際は1秒も狂いはしなかったのです)。このムーブはセイコーの歴史上、最高峰の機械であったと断言しても差し支えありません。