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2007年01月21日

●第177話(本年度・時計技術通信講座終了) 

今年度の時計技術通信講座・第4回最終講座が11/20に終わりました。4名の方が挫折することなく、最後まで頑張られたことに敬意を表したいと思います。

最終回は、最も難しい「ヒゲゼンマイの調整」を行いました。少し無理かな?と思いましたが敢えてチャレンジしてもらいました。ヒゲゼンマイの縦ぶれ・横ぶれを修正し、ヒゲ棒隙間の遊びの調整(かすかな両当たり)をしてもらいました。

素質があるのに東京のH君は練習不足のせいか、ヒゲゼンマイをいじりすぎて極度に変形させ、ヒゲ棒も折ってしまいました(しかしわずか1年で自動巻の腕時計を分解・組立・注油が出来るまで腕を上げました)。一応セイコー5を動くように仕上げましたが、日差4分ほどの誤差が出てしまい、少し残念でした。


京都のOさんは、そこそこヒゲゼンマイの調整は出来ましたが、輪列の組立具合が悪いため、天府は動きませんでした(彼は機械の図面を書くのが大変うまくいつも感心してみていました。私の注意点をいつも漏らさずノートに書き留めている真摯な姿にうたれました。きっと将来必ずや上手くなる人と思います)。

最終回多忙のために欠席になった名古屋のW君も一生懸命に時計技術習得のために取り組んでおられました。東京のKさんは、いつも練習して当店に来られるために、手が安定して細かな作業も割と早く終える腕前を持っていました。生まれつき手先が器用なのと、細かい作業が好きな方なので、ヒゲゼンマイの調整もほとんど90点をあげられるほどキレイに仕上げました(前回は輪列の穴石を割ってしまうという重大なミスを犯しましたが短期間にここまで上達したことにビックリしました)。最後に私がほんの少しだけ肝心なところに手を加えて、タイムグラファー(歩度検定機)に乗せて誤差を調べてみましたところ、セイコー5は日差5~7秒程に仕上がり、姿勢差誤差も2~3秒程しかないほど上手く仕上がりました。彼が練習用としているアンティーク・セイコー手巻き腕時計のヒゲゼンマイの微調整をやらしたところ、これもクロノメーター規格に入るほど素晴らしい精度が出ました。

皆さん熱心で器用な人ばかりでしたが、今まで8人の方を教えて、一番素質のあるのは、Kさんではないかと思いました。皆さん、まだ年も若く、これから自己研鑽して時計修理技術の腕前を向上させていって欲しいと願望しています。