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2007年01月21日

●第140話(セイコー技術講習会)

今年3月6日にセイコーパーペチュアル・カレンダー技能講習会を受けるために大阪へ行ってきました(セイコーの技術講習会を受けるのは本当に久しぶりです。何年ぶりか解らないほど前回は遠い昔です)。2100年までカレンダーをいじらなくてもいいフル・オートカレンダー・ムーブを搭載しているセイコー腕時計の技術講習です(小売価格は45000円~80000円の価格帯の時計です)。

大阪難波神社 難波会館2階会議室の狭い会場に熱心な技術者30名弱が集まって開催されました(講師は第二精工舎・現(株)セイコー・インスツルメンツから4名の方がきておられました)。人口800万人が住む大阪府ですから、100人以上の時計技術者が来ているのかなと思っていましたが、余りにも少ないのでビックリしました。

私が若い時、滋賀県の時計店を対象にしたセイコー技術講習会に何回となく行ったとき、大津の会場(近江時計学校)にはいつも50人~80人以上が集まっていて大盛況でした(昔は昼には豪華な弁当を出したり、至れり尽せりのセイコーの接待?講習会でしたが、不景気な今、連続赤字のセイコーには台所事情が苦しいのでしょうか、お茶一杯も出ませんでした。 それよりも既存の時計店の販売力に、とうにセイコーは見切りをつけているのかも しれませんが)。

一通り簡単な分解・組み立てをしてきましたが、これが腕時計の機械かと疑うほどのものでした。時計というより、もう完全なマイクロ・エレクトロニック製品でした。いくら年差20秒という正確さでも、少しも魅力を私は感じない腕時計の機械でした。プロの私が感動しないのだから、一般のユーザーには人気が出ないのではないかとセイコー社には悪いですが想像しました。

電池交換も厄介で、この講習会を受けなければ出来ない難しい仕組みになっていました。この時計を持っておられる読者の人は、そのことを店の人に確認の上、電池交換を依頼してください。

この講習会に行って大きな収穫は、メカ式G・Sにシースルーバックの時計を開発中であるという事を講師の方から聞きました(メカ式の時計は機械の中が見えるシースルーバックの方が断然、魅力的ですものね)。

それと、要望としてメカ式K・S(キングセイコー、小売上代15万円前後)の復活を提案しましたが、アッサリ断られてしまいました(2000個生産して1000個売れ残ったら赤字になるという事でした。その価格帯にはスイス時計メーカーの強いライバル(オメガ・ホイヤー・ロンジン・ノモス・オリス等)が一杯いるので、勝つ自信が無いということでした。セイコーの熱烈なファンの私にとって少し寂しい言葉でした)。

そういえば、何故ROLEXはシースルーバックの腕時計を造らないのでしょうか?
おそらく防水機能の面で不安があるからでしょう(この間修理したCal、1601は形容ができえないほど見事な機械でした。このムーブをシースルーバックにしたROLEXが出たら沢山売れると思うのですが)。