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2007年01月21日

●第163話(京都の女性からの電話)

8月6日火曜日に京都の若い女性から電話がありました。電話の内容は、小林敏夫先生著『基礎時計読本』を売られていますか?という事でした。小生、時計技術の本は沢山持っていますが、当店では書籍は販売していないので、東京のR書店を紹介しました。

少し関心があったので、その若い女性に「これから時計技術を習得されるのですか?」と問いました。彼女曰く「妹が9月に時計学校へ入学するので、今はその準備でとても繁忙なので、お姉ちゃんこの本、探しておいて、と言われて、ヤフーで検索して、貴店を見つけて電話をかけました。」という話でした。

近江時計学校・ヒコみずの時計学校でもなく、何とスイス・ニューシャテルにある、WOSTEP時計学校に入学して、寮に入り、4年間勉学するという事でした。費用も日本の時計学校と比較してあまり差がなかったので、思い切って本場のスイスに行って勉強したいという事でした(授業はフランス語でやるために、前もって語学学校に入って仏語をマスターしたとの事でした。すごい情熱ですね)。

若い女性が大きな夢を持って海外へ飛躍していく行動に、私は日本の若い女性のたくましさを垣間見る思いでした。スイスでもそうですが、日本の諏訪セイコー・第二精工舎でも、多くの若い女性が機械時計を組み立て・調整している現場を私は若い時に工場見学をして見ています。ドイツ・グラスヒュッテの高級腕時計メーカー『ランゲ・アンド・ゾーネ』社の従業員287名の内、6割の人が女性であることからも判るように女性には超精密作業が向いているのです。

時計技術は根気・器用でさえあれば男女平等に習得できる技術だと思います。逆に言えば、きめ細かなハートの持ち主である女性の方が適している職業と言えるかもしれません。今でもそうですが、数年先には時計修理技術者が足りなくなるのは目に見えてわかっていますので、多くの若い女性達が時計技術習得の扉をたたく事を期待しています。