« 第142話(サインのつらさ) | | 第144話(受け取らない修理完了品) »
« 第142話(サインのつらさ) | | 第144話(受け取らない修理完了品) »
2007年01月21日

●第143話(ゼニスよ、お前もか)

なにかしらシェークスピアの戯曲の台詞のような言葉ですが、そう言いたくなる今度のゼニス時計の大幅値上がりです。スイス時計メーカーの中で良心的な価格設定をしていたのがゼニス社でした。それがこの度の豹変ですから誰もがビックリされた事と思います。

ここにどれだけ上がったか一例を書いてみたいと思います。昨年の3月まで人気のクラス・エルプリメロ(02.0500.400/24黒)は小売定価29万円でした。それが昨年4月に33万円になり、今度は小売価格50万円になるというのです。これは滅茶苦茶な値上がりといっても言い過ぎではないとおもいます(大幅な円安が進行していれば納得するのですが、1年間で僅か10%位の円安です)。

予兆はありました。日本代理店が大沢商会から商売上手なLVMH(ルイ・ヴィトングループ)に変わったことが大きな原因でしょうか(昨年、大沢商会の幹部営業マンが引き続きゼニス日本代理店として取引をさせてもらえないかとゼニス前社長に頼んだところ、日本人がルイ・ヴィトンのバックを沢山買うからルイ・ヴィトングループが資金が潤沢になり、ゼニス時計会社を乗っ取られてしまったと嘆いていたそうです。もう私にはそんな権限がないと)。

ゼニスの新社長が、不当に安いゼニス小売価格の見直しをするというような事が時計雑誌に書かれていましたが、私から言わせれば他のスイス時計の価格が高いのであって、それまでのゼニスの価格は適正で妥当な線だと思っていました。高級機械時計を購入される消費者の方は本当に時計ファンなのです。そういう業界にとって大切なお客様を獲物にするようなことは絶対してはならないことと思います。

ル・・・・グループの日本支社長がかって物議をかもし出した事がありました。『援助交際までして・・・・のバックを買って欲しくない』と。確かにそうですが、そういう人がはたして何人おられるのでしょうか?・・・・のバックを持っている人の1000人に1人はそういうやましい金で買った人かもしれませんが、大多数の人は一生懸命働いてお金を貯めてやっと買われた人達でしょう。

この発言に賛否両論ありましたが私は顧客である日本人を小ばかにしていると感じたものでした。