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2007年01月21日

●第101話(高級アンティーク懐中時計の修理依頼)

千葉県の読者の方より、アンティークのバセロン・コンスタンチンとティファニーのK18金側懐中時計の修理依頼が舞い込みました。

バセロン・コンスタンチンのムーブメントはCal、391318で21石でした。勿論ブレゲ巻き上げヒゲで、4~50年前の物にもかかわらず、奇麗な仕上げがなされてあり、OH調整の結果、テンプ振り角が300度まで復活しました(今は実測計測中。タイムグラファーは瞬時の歩度測定なので、最終的には24時間の実測が決め手になります)。緩急針調整機構は、1904年にパテントを取得した微調整の出来る機能付きでした。

ティファニーの方はムーブの厚さが2,08mmの極薄タイプで、ケースだけではなく文字板にもK14金を使っているという贅沢な高級品でした。ヒゲゼンマイは薄型の為に平ヒゲゼンマイでした(巻真に亀裂が入っているため旋盤により別作の予定)。
ムーブメント製造会社は、初めて聞くTOUCHC&CO(スイス)という会社でしたが、見事な作り映えをしていました。無名の時計メーカーでもこんなに素晴らしい機械が作れるなんて、昔のスイス業界の底力を知らされました。

高級アンティーク懐中時計には、ゼンマイ巻き上げ機構に特殊な装置を付けてあり、ゼンマイが一杯まで解けないようになされています。駆動時間は短くなる欠点はありますが、ゼンマイの力が弱まるほとんど解けた状態では動かないために、テンプの短弧での時間の歩度の乱れはありません。また、ゼンマイを一杯まで巻けないようにしてあるために、過度の力が加わってゼンマイが切れたり、テンプの振り当たりを未然に防いでおります。

薄く仕上げるために文字板止めの足が無く、一分の隙もなくムーブに密着してあり、其の工夫にビックリ致します。