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2007年01月21日

●第188話(メカ式GSの精度)

昨年末、セイコー社から弊店へ下記のような案内が届きました。

『グランドセイコー機械式腕時計の携帯精度表記について

(1)表記内容

グランドセイコーの携帯精度は-1~+10秒が目安です。通常のご使用状態で一週間から十日間程度お使いになった際の平均値がこの目安範囲を超える場合には、調整させて頂きます。ご購入後2年以内は無償、それ以降は有償。ただしご使用期間が長く、部品が経年劣化している場合にはご希望の精度に調整できないことがありますので予めご了承ください。

なお上記内容はグランドセイコー規格(ムーブメント単体での静的精度※で平均日差-3~+5秒)の表記と併記されますが、このグランドセイコー規格については「実際に使用したときの携帯精度とは異なる」旨を必ず記載いたします

※静的精度とは、ケース組込み前のムーブメント単体を一定条件下に人工的に管理された環境において数日間かけて実測した場合の数値です。これは使用条件の違い(ぜんまいの巻上げ量、温度、姿勢【時計の向き】等)によって携帯使用した場合の精度が変化しやすい機械式時計の精度実力を公平に評価・表示する ためのもので、スイスのクロノメーター規格も基本的には同様の考え方です。

【グランドセイコー規格検定】は3温度差・6姿勢差の条件下で17日間かけて実測し合格したもののみを製品化し販売しております

(2)考え方

'98年12月の発売以来、グランドセイコー機械式腕時計はムーブメント単体での静的精度を前提とした【グランドセイコー規格】に基づく数値のみを精度表示してまいりました。しかしながらこれまで購入いただいたお客様からは、グランドセイコー規格の静的精度と、実際に使用される際の携帯精度との違いについてお問い合わせ等をいただくことが多々ございました。弊社としましてはその都度、静的精度と携帯精度との違いについてご説明させていただいておりましたが、よりお客様にわかりやすい表示を実現するために、このたび携帯精度の目安を表示することにいたしました。

※なお'02年10月以前に出荷いたしました商品には携帯精度に関する表記がございませんが、精度、性能等は変わりありません。したがいまして、携帯精度が上記の目安範囲を超える場合には、同様に調整させていただきます。』

・・・・との内容でした。35万円以上もする機械式腕時計ですから、できるだけ新品時の携帯精度を-2~+5秒以内に収めてから、出荷するべきだと思いました。(セイコーの技術陣をもってしてもGS携帯精度を-3~+5秒にすることは 困難な事なのでしょうか。)

当店でGSをお買い上げ下さった方の3~5年後のOH依頼の時には、携帯精度を-2~+5秒以内に収めてお渡ししたいと思っています。(全てのGSを出荷段階で携帯精度-2~+5秒以内に収めるのが無理だとメーカーが感じた場合は、何らかの善後策を取るべきだと思います。緩急針を微細精度調整が出来るスワンネック型に変更するか、天輪にミーンタイムスクリューを取り付けるか、ブレゲ巻上げヒゲに変更するかしなければならないと私は感じています。)

35年前に発売されたCal.45を搭載したGSの携帯精度は-2~+5秒以内だった記憶があります。発売したお客様から絶賛の言葉を受けたと父は誇らしげにいつも語っておりました。最近の時計雑誌にCal.45を搭載した1969年製GS・VFAが何と88万円でアンティークショップで売られているのには腰を抜かす程ビックリしました。 (Cal.45を搭載した30年前のKSでも時間をかけて精密調整すれば、 GS・VFAの精度に匹敵する正確さが蘇ります。)