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2007年01月21日

●第124話(シチズンの名作・薄型自動巻について)

かってグランドセイコーに対抗してグロリアス・シチズンがあったように、セイコー・ロードマチックに対抗してシチズン・アドレックスがありました。このアドレックスはシチズンの名作の薄型自動巻腕時計です。

アンティーク・ショップにもこの時計の在庫をお持ちの店は殆どないのではないでしょうか?(もう無いと言っても過言ではないと思います。それほど今では滅多にお目にかかれない貴重な腕時計と思います)。セイコーLMは有名でも、このアドレックスを知っておられるマニアの方は少ないと思いますので詳しく述べてみたいと思います。

今から約28年前に開発売り出されました。直径26,6mmで厚さ3,73mm(100円玉2枚の厚さ)の薄型にもかかわらず、自動巻デイデイト機能付き(カレンダー瞬間送り・ROLEXと同じ)でした。

Cal、8001Aで28800振動(8ビート・ROLEXと同じ)で 、ROLEXのようにアンクル受けとテンプ受けをブリッジ化していました。かなりROLEXを意識して作られた見事な腕時計でした。

高級腕時計と同様にヒゲ棒の当たりをヒゲ両アタリ化しておりました。価格の割?(当時の価格で7万円前後・高級機種に入る時計でしょうか?ケースに沢山のお金を注ぎ込んでいました)にはいとも簡単に高精度が出るムーブメントでした。自動巻機構はシチズン独自開発のUアンドU方式(片巻式自動巻)を採用しておりました。

このアドレックスには、ケース・文字板に、かってなかった斬新な素材を取り入れていました。初めて見たときはあまりの美しさに宝石を見るような感じのモノでした。十勝石・黄虎目石(イエロータイガーアイ)・血石(ブラッドストーン)・ジュモンドを、ケース・文字板に採用していました。進取の気性のシチズンらしい腕時計でしたが、想像を絶する美しい奇抜さ故に余り売れなかった記憶があります。ムーブメントを生かした、もっと薄型のドレスウォッチを作ったら売れたものと残念に思っております。

セイコー・オリエントもメカ式腕時計を再生産している今日、セイコー社に負けない素晴らしいメカ式腕時計を過去において生産してきたシチズン社も時計ファンの要望に応えて、メカ式高級腕時計を再生産すべき段階に来ているのではないでしょうか。