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2007年01月21日

●第123話(シチズン電子腕時計について)

電子腕時計のパイオニアと言えばシチズンと言えるでしょう。

1966年3月にエックスエイト・クロノメーター(天府式・メカ式と殆ど同機構)を売りだしたとき、1年間正確に動くムーブに驚愕しました。ゼンマイ式のように解けていく道程でのトルク変動がないために、歩度は極めて安定して正確でした。

1969年には普及版のコスモトロンを売りだし(当時の価格で2万円前後)、1970年にはICー70を開発し、1971年7月には日本で初めての 女性用電子ウォッチ・コスモトロンLを売り出しました。

1972年5月には電子ウォッチの決定版コスモトロン・スペシャル(Cal、7801A 8J 10振動のハイ・ビート)を売り出しました(電池製造技術の目覚ましい発展により電池寿命が2年に伸びたことは、この時計をさらに魅力のある商品にグレードアップさせました)。この時計は電子ウォッチの名機で、音叉腕時計に匹敵する精度を備えておりました(読者の方でこの名機を所有しておられる方もいると思います。ちょっと羨ましいですが)。時報合わせ装置(ジャスト・セッティング)を搭載してあり、8時方向にあるボタンを押せば、正時に対してプラマ3分以内の誤差は一瞬にして修正されました。1~2ヶ月に1度だけ押せばいいと言うほど便利で正確な時計でした。

ブローバと提携し、1971年9月に音叉腕時計ハイソニックを売り出しました。

セイコー舎に遅れること4年、1973年8月には今ではとても珍しい天府式レゾナントモーターの水晶腕時計を開発売り出しました。1秒間に1回動くステップモーターのような味も素っ気もない機構と違って、クォーツでありながらメカ式のように動くテンプに、面白さを感じました(スケルトン仕様にしたら、時計愛好家このクォーツ・テンプ式腕時計は今でもかなり売れたのではないでしょうか?)しかしステップモーター式よりも調整がかなり難しくて、神奈川県藤沢市のシチズン技術センターの5日間の技術講座を修了しなければ修理不可能な厄介さがありました(これを修理できる人は日本ではかなり少ないのではないでしょうか?)。

その一方、ステップモーター式のセイコーのクォーツ技術講座は2日間で修了し、参加者は日本全国に一杯いました。昔はクォーツ技術講座を受講していない店では修理できませんでした(部品の供給がありませんでした)。講座修了証書を店内に威張って飾っていたものです。

現在ではクォーツは全てと言っていいほどステップモーター式を採用しております。
部品数が少なくて組立が簡単で故障がなくて製造コストが極めて安いという、良いことずくめのステップモーター式です。