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2007年01月21日

●第150話(IWCの新作について)

若い時からインターナショナル腕時計の修理が一番好きだった私でしたが、最近のIWCは自前の機械ではなくETA社のムーブを搭載しているのが多く、少し残念な気がしていました。

しかし、最近IWCから発売されたビッグパイロットウォッチ(SSケース 125万円)は、久しぶりに鼓動が早くなるような興奮をおぼえるムーブを搭載している時計かなと思います(定価が高くてちょっと手が出ないのがくやしいですが)。

キャリバーは5011でロービートの18,000振動、7日間のロングパワーリザーブ機能を備えています。昔のインターナショナルのように、ブレゲ巻上げヒゲゼンマイを採用しているために、ロービートでありながら、高精度が出る仕組みになっています。
また、自動巻き機構はインターナショナルが発明した「ペラトン」機構を採用し、効率のいい巻上げ方式です。写真で見た限りでは、本当に懐かしいインターナショナル腕時計の味が濃くにじみ出ているムーブメントだと思います。

30~40年前以前のインターナショナル腕時計のヒゲゼンマイは、平ヒゲではなく、ほとんどブレゲ巻上げヒゲゼンマイを採用していたために、調整は難しくても、高精度の出る本当にイイ腕時計でした。

最近の機械式腕時計のムーブは平ヒゲゼンマイが多いのですが30~40年前以上のスイス高級機種ではブレゲ巻き上げヒゲが主流でした。ROLEXと言えば巻き上げヒゲの代名詞みたいな機械でしたがROLEXでさえ、この頃Cal3000のように平ヒゲを採用しつつあります。

GS(グランドセイコー)が平ヒゲであるにもかかわらず高精度が出るのは、ヒゲ玉のピンニングポイントの内端を重力誤差を受けないように理想カーブにしているからなのです(盛岡セイコーで、この調整作業が出来る人は2人しかいないそうですが、少しさみしいですね)。