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2008年05月19日

●続時計の小話・第84話(ロンジン腕時計の人気)

先日、スウォッチグループ・ジャパン(株)のロンジン事業部・部長S氏が弊店に2ヶ月ぶりに来店頂きました。共に、楽しく食事をしながら今年のスイス・バーゼルフェアの様子や、ロンジンの新作等のニュースを頂戴しました。

今年のスイス・バーゼルフェアは、昨年より寒気団の影響で天候も悪く、寒く荒れていた為か入場者数が少なかったそうです。また、日本からの時計店の方達の来場も昨年度よりかなり少なかったと、聞きました。その一方で中国のバイヤーの姿がやたら沢山見受けられたそうです。

S氏と、お話をしている中で特に驚かされた事がありました。

それは今年の年末にロンジンから新作が発売される、LONGINES マスターコレクション レトログラードの世界からの受注件数の多さでした。

弊店は、東京で2月に行われたスォッチグループジャパンの展示会に参加して、ロンジン・マスターコレクション・レトログラードを各1本づつ計4本を予約注文してきました。

S氏によると、スイスに出かける前に日本のロンジン特約時計店より、80本のマスターコレクション・レトログラードを予約受注を受けてスイス・バーゼルフェアに乗り込んだそうです。バーゼルフェアのロンジン・ブースには、各国のエージェントのロンジン注文件数がボードに刻時、記載されていたそうです。

日本はマスターコレクション・レトログラードの受注件数80、と載っており世界で7,8番目位だったそうです。一位は中国で、なんと1000本以上の予約発注をしていたそうです。

その中国と日本の数の差に驚いたS氏と、上司のA氏は、日本のロンジン事業部が、営業力がなく大したことは無いと思われるのが残念で堪らず、慌ててバーゼルフェアに来ている日本の卸商等のバイヤーの方に果敢に営業活動をして、なんとか600本以上のマスターコレクション・レトログラードの受注件数を獲得したそうです。そのお二人の営業努力は大変なものであったろうと容易に推察出来ます。

ところが、バーゼルフェアの終わり頃になると、中国のロンジン・マスターコレクション・レトログラードの受注件数は、5000本を軽く越していたそうです。

余りにも数が多い事にS氏と、上司のA氏は唖然として中国経済力の怒濤の勢いを知らされたそうです。それにしても、毎年二桁の経済成長を誇る中国の爆発的な購買力には、開いた口が塞がらないと言っても過言では無いと言えます。

昨年のロンジン社がLONGINES SPORTを多種多様に渡って新作を発表して、世界中から熱い視線を受け、日が昇る勢いで拡張路線を突っ走っている事を如実に証明した結果なのかもしれません。

弊店も今年度末にマスターコレクション・レトログラードが4本入荷してくるのを楽しみに待っている状態ですが、その話を聞くにつれ、恐らくなかなか入荷してこないのではないか?と不安を覚えたりしております。

ロンジンの新作腕時計がここまで、世界中の時計愛好家の人達から熱い支持を得ているのに心底驚かされました。先行販売されている、ロンジン・レジェンド ダイバーも現在、大人気でなかなか入荷してこない状況を思うにつれ、今後ロンジン新作腕時計はどれもが、入手しにくい時計になっていくのではないか、と思い大変嬉しく思う反面、少しは人気が沈静化して欲しい、と願ったりしています。

S氏と対談している中で、今後スイス時計会社は、中国富裕層の国民の消費動向を良く見ながら生産せざるを得ないのではないか、という点で一致しました。営業上手なスイス時計関連の人々は、中国人の趣味、嗜好を十分調査して、中国人好みの機械式腕時計をこれから生産していくのではないか、と思われます。

先日、テレビを見ておりましたら、中国の富裕層の人々がツアーを組んで東京・銀座にショッピングツアーに大挙来ている事を報道していました。中には、1000万単位のトゥールビヨン等の複雑腕時計をカードで買い求めている青年実業家の姿が映っておりました。

その男性曰く、『中国では、コピーを掴まされる不安があるけれども、東京銀座の有名店ではその心配が全く無いので安心だ』と語っていましたし、有名店の時計店の店主も、超高額腕時計は、2個に1個は中国の方が買っていかれると、ホクホク顔で語っておられました。

銀聯(ぎんれん)カードを使って中国の人々が東京銀座で1000万単位の買い物をする姿を見るにつけ、2~30年前に日本人の金持ち連中が香港にショッピングツアーで大勢押し掛けた事を思い出すと、時代の流れの転換を思い知らされます。

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