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2007年01月21日

●第26話(スイスの時計メーカー:ロンジンについて)

時計の小話の読者様より質問があったのでロンジンについてお話しします。ロンジンは現在スウォッチグループに入っており、最近、懐古調の魅力ある限定モデルのスクエア型のドルチェヴィーダ(機械は手巻きのムーブメント)が人気があります。現在、日本ではブランドイメージが以前よりも多少弱くなりましたが、マニュファクチャー時代のロンジンは非常に活発で、オリンピックの公式計時を担当するほどの技術力があり、国際的にも認められていました。日本にもたくさんのファンがいました。

創業は1867年、スイスのサンティミエで、優に140年の歴史があり、スイスの時計産業史上欠かすことのできない存在です。33年前に創立100周年を記念して10振動の高精度のウルトラクロンを発売しました。これは日本でもロンジンファンにとても多く売れました。もちろんクロノメーターの精度を保証されていました。当時の価格で約7万円~9万円です(大卒の初任給が5万の時代)。

ロンジンの技術力を高く評価していたセイコー舎は一手輸入代理店になったものです(目の高いセイコー舎は、過去においてジラールペルゴーの輸入代理店にもなっていました)。セイコークォーツよりも発売が少し遅れましたが、ロンジンもウルトラクォルツというネーミングの水晶腕時計を発売して、市場に大変うけました。

ロンジンは1930年代からクロノグラフの航空用腕時計を盛んに手がけて発売したという事は、その当時よりかなりの技術力を持っていたことになります。私がこの業界に入った頃は、ロンジンと言えば、オメガ、インター、ナルダンと並び賞されるほどの人気と力がありました。そのことを思うと少し寂しい気がいたします。