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2008年02月08日

●続時計の小話・第76話(革バンドの手入れ)

全国各地から修理依頼で送られてくる腕時計の中で、革バンドのタイプでそんなに長い年数を使用していないと思われる革バンドでゴワゴワになって硬化したものや、腐敗臭の悪臭を放つ革バンドがあります。

時計本体は高価なので、それなりに皆さん汚れが付いた時はセルベット等で綺麗に拭かれているのですが、革バンドまで、いつもかかさず手入れをされている方は少ないのではないか?と思います。

革バンドの寿命は、2~3年と言われていますが、常日頃から手入れをしていれば本革の場合、5~6年の耐久性があります。スイス腕時計の純正革バンドを輸入元から取り寄せ致しますと、普通品で8,000~15,000円ぐらいするのが当たり前で高価な物ですと30,000円以上もするものも有ります。高価なものですので汗を盛んにかいたときは手入れをしていただきたい、と思います。

時計の純正革バンドは最高級品の革を使っている場合が殆どですので時計革バンドも汚れた場合当然手入れは必要かと思います。靴やバック等の場合、汚れた時は皆さんはブラッシングをしたり、クリームを塗って手入れをされていると思います。時計革バンドもそのように手間暇かけてして欲しいと思います。

革バンドの一番の大敵は、人間の油や垢や汗です。特に汗の中に含まれる塩分が一番の邪魔者です。革バンドに、汗がしみ込み、塩分が残留すると革バンド自体に含まれている水分を吸収してしまい、硬くなって革バンドが持っている本来のしなやかさが喪失してしまいます。

修理依頼で預かった時計の中に革バンドが金属の様に硬くなったものがあり、吃驚する時もあります。夏場は、特に汗が出ますので、指一本入るぐらいに緩めに腕に取り付け通風性を良くして、それでも汗をかいてバンドが湿ってしまった場合には、布に水分を含ませて、革バンドの表裏を拭いてやる事が肝要です。そして乾いたタオルの上に置いて陰干しをしてやると良いと思います。

仕上げに表裏面にごく薄くハンドクリームを塗ってやるとしなやかさが出てきます。汗がしみ込んで革バンドの色ムラが出来る前に、必ずしてほしいメンテです。鮮明な赤、緑、黄色の染色した高級革バンドの場合、濡れた布でゴシゴシと擦ると色落ちをしてしまう危険もありますので、細心の注意を払いながらしてください。

時計革バンドは、腰の革ベルトと違って、直に肌に触れますので革バンドに人間の汗や垢等の老廃物が付着するものです。放っておくとバネ棒までも完全に錆びてしまい、最悪の場合はバネ棒の先端がレグのバネ棒の入る穴に、完全に一体となって錆び付いてしまい、バンドを外せない場合があります。

無理して外すと錆びたバネ棒の先端の部分が折れてしまい、レグの穴に埋め込んだままの状態で外れてしまいます。そうなるとキリを作って穴をとりくりださなければならない為、厄介な作業になります。

時折、革バンドの汗や汚れを取り除き、バネ棒を新品に交換するのも時計の寿命を長く保てる一因になる、と思います。