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2007年01月21日

●第42話(女性用・機械式腕時計について)

ここ十数年のスイス及び日本の時計メーカーの機械時計復活にかける情熱は目を見張るものがあります。しかし残念ながら、女性用のメカ時計の再生産の噂をあまり耳にしません。メカに弱い女性(失礼御免なさい)が多い為、そういうニーズがないので敢えてメーカーが作らないかもしれません。生産をしたところで採算ペースにのせるのは至難のワザでしょう。

これまで安定して女性用のメカ時計をたゆまず市場に供給してきたメーカーはロレックス社一社のみだと思います。かってはセイコー・シチズン・オメガ・ロンジン等の有力メーカーも婦人用の手巻き・自動巻の腕時計を盛んに作っており、新しいムーブの開発にも力を注いでおりました。

女性用を商品化するために小型化(径20mm以内)・軽量化・薄型化は非常に難しいものなのです。デザイン優先の女性消費者の皆さんは、中の機械がクォーツであれ、メカであれ、あまり関心が無い為かもしれません。男性は車のメカにも非常な興味があるように、腕時計のメカにも興味があるために機械式が復活したのでしょう。
ハッキリわかりませんがアンティーク市場にも女性用のメカ時計の取引は皆無の状態なのではないでしょうか。そういったことを考慮してみますと、ロレックス社の姿勢は他社よりも群を抜いていると思います。ハッキリした方針があるために、水晶腕時計が出現した時も何ら慌てる事もなく女性用機械式腕時計を自信を持って作り続けたのに違いありません。

防水性・耐久性・機能・精度等の総合力を判断して女性用も自動巻腕時計が最高と決断したものと思われます。ロレックス社は1954年に婦人用自動巻腕時計をつくっております。1972年に発売したキャリバー2035,2030を搭載したロレックス婦人用自動巻腕時計は緩急針調整のヒゲ棒が人造ルビーで出来ており、大まかな所はそこでやり、マイクロステラ微動調整用特別スパナーで秒単位の微調整が可能の素晴らしいムーブメントでした。28800振動で、ロレックスには珍しい平ヒゲを採用しておりました。これほどの美しい婦人用自動巻ムーブをいまだかって見たことがありません。ロレックス・レディ・デイトジャスト69173型の現行のキャリバー2135、 29石も2035に劣らず秀逸でしょう。

女性の方で機械式が欲しい方は、予算が許せば迷わずロレックスが一番でしょう。
ロレックス等の小型の婦人用自動巻ムーブは磁気にとても影響を受けやすく、急に誤差が出てきた場合、それを疑った方がよいでしょう。時計店でいとも簡単に磁気を抜く工具があり、どの店でも無料でやってくれるでしょう。冷蔵庫のドア、ハンドバックの留め具などには磁石が使われており、注意が必要です (磁気ブレスをして腕時計をするのは論外でしょう)。