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2007年01月21日

●第39話(水晶時計について)

水晶腕時計の歴史は30年程ですが、標準大型水晶時計は1930年にアメリカのマリソンによって初めて完成されました(そのころ集積回路ICが無く真空管で作ったので、とてつもない大きい物でした)。日本では東工大の古賀教授が1933年に完成しております。その古賀教授は、1952年に3000KHzという、とてつもない精度の大型水晶時計を開発して、1963年に文化勲章を授与されています。

1950年頃までは天文台の標準時計はリーフラ振り子時計(日差0,01秒)かショート自由振り子時計(日差0,001秒)でしたが、水晶時計の出現により消え去る運命でした。日本では地震多発地域のため振り子式はムリがあるため、早くから水晶時計が待ち望まれていました。その為に他国に遅れることなく水晶時計化に早く進展したのでしょう。

現在の天文台水晶時計は、日差10万秒の1といわれ300年に1秒しか狂いません。腕時計の分野では最高峰のグランドセイコー水晶腕時計は年差10秒(日差にすると0,027秒)で、機械式のスイス最高級腕時計(ロレックス、インター等、日差5秒前後)の精度の200倍の正確さです。

腕時計に精度を要求するユーザーの方は、迷わず水晶腕時計(1000円位の低価格品でも月差50秒位の正確さです)が一番イイでしょうが、人類が作り出した極小の精密機械に憧れを持ち、共鳴出来る人は、多少誤差がでても機械式腕時計の方が心に安らぎを与えてくれると思います。心臓の鼓動のような、あのチィッチィッチィッと発する規則正しい脱進機の音に郷愁を覚えるのは皆さん誰もがお持ちでしょう。
水晶腕時計を製造する高度の技術力をもったメーカーは、世界ではダントツでセイコー舎が一番でしょう。