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2007年01月21日

●第4話(機械の簡単な歴史)

腕時計のおおまかな歴史をお話しします。現在では、水晶発振腕時計(クォーツ)が市場のほとんどを独占しておりますが、 30年前では機械式腕時計が隆盛で、ほとんどがゼンマイで動く時計でした。

ロレックス・オメガ・セイコー・シチズンでも、生産の100%近くが自動巻か手巻きでした。そこで、運動量の少ない人の為に電池で動く天府式のムーブメントが開発されました。しばらくしてアメリカのブローバ社が音叉式の高精度の腕時計を発売しました。
当時で10万円ぐらいする高価な時計で、月差1分ほどの、当時としては ビックリするような精度でした。

それからシチズンがブローバ社と技術提携して、国産の音叉時計を発売しました。
しかし音叉時計があまり市場に普及しなかったのは、修理が大変難しく、手間のかかるものであり、時計屋がその技術についていけなかったからです。セイコー舎はそれに立ち後れまいとして、数年後に画期的な水晶発振腕時計を市場に出したのです。当時としては数10万円もする手の届かない高価な腕時計でした(今では数100円で買える水晶発振腕時計があるのがウソのような話です)。水晶腕時計がこれほどまでに市場に浸透したのは、価格が急激に低下したのと、 機械の構造が簡単になり、修理がとても易しくなったためです。

当初のクォーツは、セイコーもシチズンも大変複雑なムーブメントで、技術を習得したものでなければ修理が難しく、メーカーサイドの講習会を受講したものにしか修理はできなかったのです。これほどまでにクォーツが浸透したにもかかわらず、あくまでも機械式腕時計に固執するロレックス社の頑固な機械屋集団に脱帽します。