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2007年01月21日

●第272話(現行の手巻の名機)

往年の傑作手巻きムーブメントを列挙すれば、枚数に暇がない程、多くの数に上るものでしょう。現行品で、傑作手巻きムーブメントと言えば、下記のものと言えるかもしれません。これらのムーブメントを搭載した、腕時計は、100万円以上の高価なものなので、 生産及び販売される数も、限りがある為に、なかなかオーバーホールをする機会は訪れないものと思い、少し残念な気が致します。

手巻きムーブメントの最高峰に位置づけられるものに、 やはりパテック・フィリップと言われるのが定説になっています。 その中で過去において、 1935年~1953年に製造されたCal.12-120、1945年~1950年に製造されたCal.12SC、 1949年~1970年に製造されたCal.27SC、1961年~1973年に製造されたCal.27-400AM 1966年~1971年に製造されたCal.23-300が、つとに有名です。

現行のカラトラバRef3919(定価\1,249,500)に搭載されているCal.215PSは、過去のパテック・フィリップの名機のデザインを踏襲した、素晴らしい出来映えの 機械になっています。勿論、テンプには、ジャイロマックスを採用し、パワーリザーブは44時間で 28,800振動です。

以前のカラトラバのムーブと大きく違う点は、角穴車と、丸穴車が地板の上に 出ていて、以前の様に香箱受け地板の下側に隠れている方式とは 大きく違っている点です。 どちらかと言えば、私は今の方式の方が、見栄えが綺麗に映るような気がします。

ピアジェの現行の手巻き極薄ムーブメントCal.600Pもパテック・フィリップCal.215PSに、負けない綺麗な手巻きムーブメントです。ピアジェ社は元々、手巻き極薄腕時計を作るのを得意としている分野で、 このCal.600Pもムーブメントの厚さが2.1mmという薄さで、毎秒6ビートのロービートに仕上げています。このムーブメントを搭載した、腕時計も定価\1,375,500と高く、ついつい買ってしまう、という訳にはいかない代物なのが残念でなりません。

もう一つの手巻きムーブメントの傑作は、ミッシェル・パルミジャーニが 1996年にパルミジャーニ・フルーリエ時計会社を興し、素晴らしい自社開発のムーブメントを次から次へと世に送り出している中で、手巻きではCal.110でしょうか?この手巻きムーブメントはツインバレル方式を採用した、 8日間のパワーリザーブ機能を搭載している事です。トノー型の形をしたムーブメントは、斬新なイメージをユーザーに与えるばかりでなく、スワンネック型の緩急針を採用する事により、アンティーク調のイメージも兼ね備えている傑作ムーブメントと言えるでしょう。

ジャガールクルトの様に、小型のテンプを採用する事により、長時間駆動が出来るようになったものと思います。オーデマ・ピゲの『ジュール・オーデマクラシック』に搭載されているCal.3090  6振動もパテック・フィリップCal.215PSに匹敵する機械と言えるかもしれません。

新車を一台買って12年で価値をゼロにしてしまうより高級時計を買って 大事に使い子孫代々受け継がれていくようにする選択も 一つの価値観の選択と言えなくもないと思います。