« 第238話(時計洗浄について) | | 第240話(エボーシュ・メーカーについて) »
« 第238話(時計洗浄について) | | 第240話(エボーシュ・メーカーについて) »
2007年01月21日

●第239話(トランジスタ時計)

今年のお年玉付き年賀はがきの、1等の景品は、『ハワイ旅行』でしたし、 液晶テレビや、ノートPC等色々、魅力的な商品が一杯ありました。

お年玉付き年賀はがきは、1949年(昭和24年)12月に第1回が発売されて、 もうすでに50年以上の歴史を刻んできた、日本の年初の挨拶の慣習になっています。

昭和24年度の最初のお年玉付き年賀はがきの景品は、特等が『ミシン』、1等が『純毛洋服地』、2等が『学童グローブ』でした。2回目の昭和25年度のお年玉付き年賀はがきの景品は、特等が『タンスまたは写真機』、1等が『自転車』、2等が『腕時計』が採用されました。昭和35年度には、特等が『ステレオ』、1等が『洋風掛け布団2枚組』、2等が『トランジスタ腕時計』が景品として、採用されました。昭和43年度には、特等がなくなり、1等が『8ミリ撮影機・映写機セット』、2等が『トランジスタ・ラジオクロック』が景品でした。昭和51年度は、1等が『折り畳み式自転車』で2等が『腕時計』でした。

それ以来、28年間、時計関係の景品はついていません。 今から30年以上前の時代には、腕時計や、置き時計・掛け時計は思い切って 買う決意がないと、なかなか手に入れられにくい商品だったのでしょう。

昭和46年小生が結婚したときに、父親から、お祝いとして、『セイコーTTXトランジスタ掛け時計』を貰った記憶があります。(当時の価格で6.000円位だったと思います。給与5万円の時代です)(他にセイコーにはロングセラーのセイコーソノーラー・トランジスタ掛け時計が ありました)単1電池一個で、一年以上動き続ける当時としては、極めて正確な時計で、1月に2~3分ぐらいしか狂わなかった記憶があります。

そのTTXトランジスタ掛時計は、調速機に、テンプとヒゲゼンマイを採用しており、テンワが二枚あり、テンワのアームに2個永久磁石が張り付けていて、そのテンワの間にコイルが設置してあり、コイルを通過するテンプ回転運動をするたびにトランジスタが電流の流れを制御する仕組みになっていました。半分は機械式と言える機構で、一部に、トランス、トランジスタ、コイル等の電子パーツが使用されていました。

当時、普通のゼンマイ式1ケ月巻掛時計の場合、中の機械は文字盤に隠れてユーザーの方には見られなかったのですが、この、『セイコーTTXトランジスタ掛け時計』はムーブ一式が透明のカプセルの中に入っていたために、機械の動きが裏から見れる事により、お客様に大変人気が出た記憶があります。(現在のスケルトン腕時計がユーザーの方々に人気があるのも解るような気がします)

他方、シチズンには、『シン・クロック交流電気掛け時計』やシチズントランジスタ時計『ローター』がありましたしコパル社には、『キャスロン』という、爆発的に売れた数字表示の電気置き時計がありました。光星舎にも、『テンプ式トランジスタ掛け時計』がありました。(駆動原理はセイコートランジス掛時計と同じ原理で動く掛時計でした。)リコー時計には、『本打ち式(デインデイト)』掛時計もつくられていました。

音叉の振動体を利用した、電子掛時計に、シチズン『エリトロン』と、 ジェコー『芙蓉』『葵』等がありました。 クロックのムーブメントにも色んな変遷がありました。