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2007年01月21日

●第221話(腕時計ケースについて)

腕時計のケースには、いろんなたくさんの種類があります。非防水の腕時計は、ガラスぶち、風防(プラスチック)、ケース本体、裏ブタ、リューズから成り立っています。
防水ケース側は、メーカーによっていろんな方法やら種類があります。一番多く採用されている方法では、ガラスぶち、ガラス接触パッキング、ガラス、ダ円リング、見返しリング、ケース本体、スリット中枠、裏ブタパッキング、裏ブタ、リューズから成り立っています。パッキングはシリコングリースを塗布してケースに密着させて、防水性能を高める方法を採ります。

防水角型腕時計の場合は、ガラスぶち、風防、パッキング、中枠、ダ円リング、裏ブタの構造になっています(一般的に角形ケース・トノー型ケースは丸形ケースよりも防水性能は落ちます)。防水性能に秀れたワンピース・ケース(セイコーロードマチック、オメガ、過去のインタナショナルに多く採用)の場合、裏ブタが無い為に、巻真が2本に別れるジョイント方式になっています。汽車の連結部分の様に、凹部と凸部に巻真が別れていて、噛み合いを確認しながら押さえ込むと、一本の巻真になり、ケースにセットされます。

時計メーカーによってはガラス側に2本のパッキングを採用している所もあり、古くなってきますと、そのパッキングの入手が大変難しくなったりして閉口する時があります。かつてのキングセイコーや、グランドセイコーには、ガラス側のパッキングが台形の二段式になっていて既に生産終了で入手出来ない為、パッキングが亀裂・経年劣化して交換の必要がある場合、板状のパッキングと筒状の丸パッキングを組み合わせて代用したりします。

防水ケースはこれらの構成するパーツのどれ一つでも異常があった場合、防水性能が維持できなくて、使用中に湿気・汗・水等が入り込み、ムーブメントを錆させて痛めつける原因になったりします。天下無双のローレックス・オイスターケースといえども、メンテナンスを定期的に行わないと、裏ブタとケース本体の裏側に汗・湿気等が染み込んで、ステンレスケースが錆びついて、著しく防水性能を低下させる原因になったりしますので、定期的なメンテナンスは絶対必要なのです。

防水側不良の原因には、幾つか挙げられます。ガラスぶち部分では、「ガラスぶちのゆるみ、ガラス及び風防のヒビ・割れ、Oリングパッキング&楕円リングのヘタリ・変形・劣化等」が考えられます。ケース本体部分では、「巻真交換後の長さが長い為の隙間、パイプ(チューブ)の抜け落ち・ネジ部のバカ、リューズシリコンオイルの塗布不良」等が考えられます。

裏ブタ部分では、「ネジブタ締めの緩みや不良、パッキングの経年劣化、シリコングリースの塗布不良」等があります。水に腕時計をつける機会の多い人は定期的に防水点検を必ず受けるべきだと思います。水が入ってから慌てて時計店に持ち込んでも、万事休す、の場合が往々にして見受けられます。