●続時計の小話・第139話(2021年、新型ムーブメント搭載のGS)
グランドセイコーヘリテージコレクション SLGH005が2021年3月6日発売されました。(税別95万円です)
昨秋発売されたグランドセイコー60周年記念限定モデルSLGH002金無垢ケース(税別450万円)のSSケース普及版です。
これらに搭載されているムーブメントの特徴はツインバレル(最大巻上時約80時間駆動)、ブレゲ巻き上げヒゲを採用したフリースプラング天府、新方式デュアルインパルス脱進機(デテント式とクラブツースレバー式を合体させたような脱進機)、そして36000ハイビートムーブです。
天府受けは、耐衝撃性能に秀逸な、両持ち式に改められ、受けの下にある調整ネジを回すことで、テンプのアガキ調整が簡単に出来るようになっています。(ロレックスも採用しています)
ようやくにしてGSに秒単位で精密精度調整ができる、ブレゲ巻き上げヒゲ、ミーンタイムスクリューを備わった天府採用のGSが具現した事はセイコーファンにとって喜ばしいことでしょう。
ロレックス、オメガに対抗できる最高のメカ式ムーブメントをセイコー社が手に入れたと言う事でしょうか。このムーブメントの公正な評価は5年後にハッキリするでしょう。
1998年に再登場したキャリバー9S51とキャリバー9S55搭載のGSとは比較にならないくらい進化した、今回のメカ式新型GSです。
これらのGSは、岩手県雫石町 盛岡セイコー工業 雫石高級時計工房内「グランドセイコースタジオ 雫石」で生産されています。20年前に知り合った当時のGS製造の担当主任O氏は、この新型GSの登場を非常に喜んでおられることでしょう。