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2021年06月15日

●続時計の小話・第135話(セイコー・ソノーラ)

昨日夜BSジャパンで、『男はつらいよ 柴又より愛をこめて』の映画が放映されていました。この映画は1985年に製作された映画です。

その映画のシーンの中で懐かしい柱時計が目にとまりました。その柱時計は昭和40年前後に販売された『セイコー・ソノーラ』と言う電池式のトランジスタクロックです。

本打式の柱時計で単一電池2個(駆動用、時打つ用)で1年間、動きました。振り子(円筒形状の磁石)の長さを微妙に合わせれば1か月の誤差が1分以内という極めて正確に時を刻む柱時計でした。音叉時計並の精度を誇っていました。

パーツ数も少なく小型化され、定期的なOHも数年に1回で済むという維持費のかからない時計で、設計も秀でていて修理も簡単に済むという優れモノでした。

セイコー・ソノーラが出現するまでの主流の掛時計は1か月巻きのゼンマイ式の掛時計(直進型脱進機)で、どんなに微妙に振り子を調整しても1週間に1分前後の誤差がでて、精度を要求するユーザーの方には不満の残る柱時計でした。

またOHも2~3年に1回はしないと十分に性能を発揮しない品物でした。セイコー・ソノーラは数か月経ってからでも数分の誤差しか出ないクロックとしては当時では申し分のない時計で他社の時計メーカーの柱時計よりもかなり優位に立っていました。価格も1万円を切っていたと思います。(現在の価格ですと数万円はしたのではないかと思いますが)。

昭和40年代初、年末の師走ともなれば、毎日、掛け時計は数本売れていきました。大学生の兄貴と高校生の自分がメーカーから送られてくる、しっかりした木箱の荷物を分解して商品を取り出すお手伝いを毎日していた忙しい懐かしい記憶です。

その頃は柱時計、目覚まし時計は時計店でしか買えなくて、毎日よく売れていっ
た思い出が有ります。昨今ではクロック類は殆どの方々が雑貨の量販店で買われるのではないでしょうか。記念品や贈答品のクロックのみ時計店でご利用されるのではないかと寂しい思いが有ります。

消費動向が大きくこの50年で大きく変換したと思われてなりません。昔懐かしい・・・商店、・・・屋は消え去る運命なのでしょうか?