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2021年06月15日

●続時計の小話・第134話(ティソの人気時計バナナウォッチ)

当初、2017年9月発売予定のティ・.バナナウォッチ日本限定500本はようやく10月末に日本に入荷してきました。予約は6月から弊店は受けましたが弊店の割り当て本数はすぐに予約一杯になるほどの人気がありました。

このようなスイス腕時計に人気が集中したのは久しぶりな事です。Tレース ツール・ド・フランスT111.417.37.441.00も世界中で爆発的な人気が沸騰していましてご予約を受けたお客様には納品が大変遅れています。

以前にフォルティスから2008年に発売されたIQウォッチ(596.18.61IQ)や、2006年に発売されたブラックアウトウォッチ(595.18.41MBO)を凌ぐほどの人気が上記、ティソ2機種にありました。当時、フォルティスは人気がある腕時計を矢継ぎ早に販売していました。

ここ数年来、舶来時計ではビッグ・ヒット商品が無く腕時計を新規に買い求めるユーザーの方にも心を動かされる魅力のある時計の発売が無かったような気がします。

昨年以来50万~100万クラスの腕時計の販売が芳しくなくスイス・ドイツ・国産各社の時計メーカーはヒット商品を出すべく努力をしているのですが、人気を集める程のヒット商品が出ていないのが現実です。

中国からの爆買が一段落し、高級時計が売れない状態の中、日本の時計メーカーも苦心惨憺している状況です。高級時計が低迷している今、セイコー、シチズン、カシオは逆にチャンス到来と思っているのか高級時計路線に力を入れ始めました。売上が低迷しているからこそ、余計に高級腕時計の販路を開拓したいと思っているからでしょうか。

セイコーは東京日本橋で開かれた、時計見本市『ジャパン・ウォッチコレクション』で150万~300万超のスポーツウォッチを新発売しました。シチズンは今まで5万~20万のクラスの腕時計を主力に販売してきましたが、スイス高級腕時計メーカー『アーノルド&サン』を買収し、1000万~2000万の超高級腕時計分野に進出しました。

シチズンはこれでブローバ、フレデリックコンスタント、アーノルド&サンを傘下に納め、マルチブランド時計メーカーへと大きく舵を切り変身しました。今後の動向が注目されます。

一方カシオ計算機は、主力ブランド『Gショック』の価格帯は1万~5万円クラスのデジタル腕時計でかなりの販売高をあげてきた実績がありますが、ここにきて全面にチタンを採用した28万円のGショックを発売しました。これは大胆な発想の転換による商品だと思われます。