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2021年06月15日

●続時計の小話・第131話(フレデリック・コンスタント社の動向)

シチズン時計の高級ブランド『カンパノラ』には、スイス・ラ・ショー・ド・フォンにあるムーブメント専用メーカー、ラ・ジュー・ペレ社のムーブメントが搭載されている時計が販売されています。

その時計は、カンパノラ・琉雅という時計で文字板には会津漆の伝統工芸師、儀同哲夫氏が見事な職人魂を発揮した美しい文字板の腕時計に仕上げています。
搭載されている機械は、2012年にシチズンが子会社として買収したラ・ジュー・ペレ社のメカ式ムーブメントが入っています。販売価格は税別80万円に抑えられていて、美的感覚の秀でた時計マニアの方に人気を集めるのではないか、と思われます。

昨年、春ごろフレデリックコンスタントの日本正規輸入代理店の営業マンS氏から耳に挟んだ事なのですが、フレデリックコンスタントをシチズン時計が買収する可能性があるとの噂を聞いておりました。それが現実化し、シチズン時計が、目を見張る勢いで成長している新進気鋭のスイス時計会社『フレデリックコンスタント』を完全買収したという、事実を聞かされました。

オープンハートの文字板を世界に先駆けて発売し、わずか30年足らずで名実共に世界に名だたる時計メーカーの一員として認められるまでに大きく成長した時計会社であるにも関わらず何故、東洋のシチズン時計に身売りをしてしまったのか、大きな疑問を持っていましたが、営業マンの話では、創業者の跡継ぎのご子息が時計産業に全く関心が無く、止むを得ず経営権をシチズンに委ねてしまったという事でした。話によると買収金額は数百億円という高額の買収案件でした。

これで、シチズン時計はスイスの有名のムーブメントメーカー、ペレ社とスイス高級腕時計フレデリック・コンスタントを手にした訳で、今後シチズン時計がさらに飛躍し、今まで以上にセイコーを大きく凌駕していくでのはないか、と思われます。

セイコーファンである小生には何とか1970年代の勢いを取り戻してほしいと願って止みません。それには誰もが驚嘆するような素晴らしいメカ式ムーブメントを開発しかないのではないかと思います。名機キャリバー45系、61系、56系以上の機械の開発が待たれます。