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2021年06月15日

●続時計の小話・第129話(シチズン時計の荒井寛子氏)

平成28年度の現代の名工(卓越した技能者)にシチズン腕時計の製造子会社である、シチズン時計マニュファクチャリング株の長野県飯田工場に勤務しておられる荒井寛子氏が厚生労働大臣から受賞されました。11月21日に、その名誉を称え明治記念会館で表彰式が挙行されました。

荒井氏はシチズン時計のフラグシップウォッチといえる『ザ・シチズン』腕時計の組み立て精度調整を担当され、メカ式腕時計としてクロノメーター基準に匹敵する日差5秒以内に歩度調整する優れた技能を有しておられます。

また、社内では技術者育成の為、後進指導を熱心にされており、社内から多くの『信州 匠の工房・時計修理士』合格者を多く輩出される努力をされています。その仕事ぶりが高く評価され今回の受賞に結びついたと思われます。

高級メカ式腕時計の国産時計メーカーの分野ではセイコーのグランドセイコーが歴史的背景から一歩前に進んでいる状態ですが、今後シチズンが製造する高級腕時計『ザ・シチズン』が躍進するのではないか、と期待されます。

それを裏付けるかのようにシチズン時計株は長野県に大規模な時計製造工場『ミヨタ佐久工場』を今年、12月2日に竣工しました。売上高全体では既にセイコーを凌駕しているシチズンですが、メカ式高級腕時計の分野でも、GSを今後追いつけ追い越しの気迫で進んでいくものと思われ、期待されます。