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2021年06月15日

●続時計の小話・第125話(『現代の名工』に平賀氏に)

卓越した技能・技術者に表彰される『現代の名工』に今年も各業界から150名の方々が顕彰されました。時計業界からは、セイコー・インスツル(SII)に籍を置く高級機械式腕時計の組み立て・調整をしておられる、平賀聡氏・40歳が選定されました。

彼は若干25歳で、1995年度の時計技能競技全国大会で素晴らしい成績を収めて優勝されている輝かしい経歴の持ち主です。

彼は現在、セイコーの旗艦モデルであるグランドセイコー・メカ式腕時計を担当されています。主にGS・ハイビート36000や、GMTなどのGS高級機種の組み立て調整等をしておられます。また、後進の若手の技術者の養成にも関わり、時計技術全国大会で優秀な賞を授与される若手時計技術者を育て上げる実績も持っておられます。

セイコー・インスツルの岩手県・盛岡工業にある、高級メカ工房の大平晃氏の後継者として、将来を嘱望されている人です。大平氏は現在、世界にあるセイコーサービスセンターを訪問し、技術指導をしておられて大変忙しい職務についておられるそうです。

平賀聡氏は、昨年3月にスイス・バーゼルフェアで実技実演を披露され、その優れた技能は世界中の業界人から注目を浴びました。

第28回時計技能競技全国大会が滋賀県の近江時計学校・近江勧学館10/22-24で開催されました。競技試験は、第一部門(メカ式時計・クォーツ時計)と第二部門(クォーツ時計)に分かれて試験が行なわれました。

第一部門の優勝者はセイコーエプソンの相馬弘希君で、第二部門の優勝もセイコーエプソンで平谷朱菜さんでした。各部門トップ3の6名の内訳は、セイコーグループの若手技術者が4名、シチズン時計から1名、近江時計学校の生徒・熊淵太一君も栄えある賞を受けられました。この時計技術試験は毎年、時計メーカーの若手技術者が成績上位を独占しています。

受験資格が原則23才以下に指定されている、第53回技能五輪全国大会・時計修理部門が12月5~6日に、千葉・仕事プラザで開催されます。毎年日本の若手技術者が世界の栄えある舞台で大活躍をしてきた実績があり、非常に楽しみな事です。