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2021年06月15日

●続時計の小話・第122話(35年ぶりの新・CMW合格者)

1980年を最後に、長い間途絶えていたCMW(公認高級時計師)試験が2014年に35年ぶりに再開され4人の受験生が最難関の時計技術試験を受験され一人の合格者が誕生致しました。大変おめでたいことです。

28歳の染矢泰輔君が見事に合格されました。彼は滋賀県大津市の近江時計眼鏡宝飾専門学校の講師を勤めておられ、昨年亡くなられた東條勝利先生の後、近江時計学校で教鞭をふるっておられます。彼とは試験会場で2回お目にかかりましたが若いにもかかわらず落ち着いた青年で、将来立派な教育者として大成される風貌をお持ちです。

近江時計学校は、行方二郎先生、東條勝利先生の跡を引き続いてCMW取得者が教壇に立たれるという、他の学校を圧する教育レベルの高さを証明した事になります。

今後の日本における時計修理業界は若い染矢君を中心として、発展する事を期待しています。染矢君がこの業界の求心力になって、将来、日本時計修理業界を引っ張っていってもらいたいと思います。

日本の時計修理業界の将来の屋台骨を背負う位の熱い気概を持って、彼には後進の指導をしてもらえたならばと思っています。60歳、70歳の老兵のCMWは気力、体力とも衰えていくばかりで、消え去るのみです。彼の様な若い人に日本時計師会を今後、担って頂きたいと希望しています。

染矢君のCMW試験結果内容は、学科試験、旋盤による天真別作、巻真別作も90点以上の高得点であり、二次試験においてもテンワがメッキしてあるという少し意地悪な試験課題も見事にクリアされ、栄えある5日間のCMW認定試験を突破されました。今後日本時計師会に加入され、CMW試験が継続的に行われるよう、彼の尽力に期待しておるところです。合格認証式は、3/14(土)に挙行される予定になっています。暗いニュースが多い中、嬉しいニュースです。