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2021年06月15日

●続時計の小話・第120話(CMW試験の再開について)

2012年11月から末和海先生のCMW試験を再開したいという熱い発案から、一年半を過ぎ、ようやく準備が整いまして、先月5月にCMW一次試験が行われました。

東日本の受験生は東京墨田区東向島のセイコー・ミュージアムを試験会場として、3名の方が受験され5月9日に学科試験、5月10日にCMW実技試験(旋盤による、天真・巻真製作)が実施されました。

西日本の受験生は、試験会場は滋賀県大津市神宮町の近江神宮時計館宝物館の場所をお借りして、1名の方が5月12日、5月13日に学科・実技試験が滞りなく行われました。(くしくも近江時計学校出身者2名、ヒコミズノ時計学校出身者2名になりました)

CMW試験を再開するに辺り、毎月第二木曜日の午後より延べ15回のCMW有志の会合を開いて意見を交換し合い、どのような段取りをして実施に漕ぎ着けるか話し合い、ようやくにして再開する運びとなりました。

この一年半の間、日本時計師会の会長に就任された、末和海先生のご尽力は大変なもので、頭が下る思いがします。東京はもちろん、大阪、名古屋まで何回も足を運ばれ、現在も時計職人として活動しておられるCMW時計師の元を訪ねられ、意見の集約をされ、ここに無事に34年ぶりにCMW試験の再開、日本時計師会の再始動が始まりました。末先生のCMW試験再開への燃え滾る様な情熱が無ければ到底、ここまで到達はなしえなかったと思われます。

現在、CMW取得者は、全般に65~70歳以上という高齢者に達してきており、今後CMW試験を末永く、存続させるには、新規にCMWを取得されるであろう若い時計職人の方々が日本時計師会の会員になられて、日本時計師会、及びCMW試験が発展するよう、運営する一員になって、率先して引っ張って頂きたい、という希望を持っています。

その為にも、今後CMW試験が隆盛するよう、20才代、中堅の30才代の時計職人の方々に受験を薦めるものです。一歩引いて及び腰にならず積極果敢に最難関のCMW受験して欲しいと願っています。

元日本時計師会の飯田茂会長はCMW試験は難解なので一発で合格するという事を思わず2年~3年かかりで合格すれば良いと仰っておられました。実際に小生の知人も3回目の挑戦で合格された方も何人もおられました。今後ドシドシ若い人にはCMW受験をお勧めします。CMW合格者が増えることが停滞気味である日本時計修理技術レベルのかさ上げに大いに貢献するものと思われます。30~40年前の世界的に評価されていた日本の時計修理技術水準に戻すべく、若い時計職人の方々の挑戦を期待します。

受験者が多くの方々の申し込みがあればCMW試験トップ最優秀合格者に偉大な功績のあった末先生の名誉を残すために『末 和海』賞を創設したいと願っております。以前にCMW試験トップ合格者に与えられた『井上 信夫』賞があったように若い受験者が目の色を変えて、大いなる目標に向かって邁進する事が出来ると思われます。