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2021年06月15日

●続時計の小話・第118話(最近の日本におけるティソ社の勢い)

精度と完成度を競う『インターナショナル・タイミングコンペティション』が2013年10/25、フランスのプンザソン・ミュージアムで挙行されました。

このクラッシックウォッチ部門でTISSOT(ティソ)のT-COMPLICATIONSQUELETTE コレクションが第一位となる名誉を獲得しました。TISSOTは2011年にも別のコレクションにて第一位を獲得しており、このコンテストにおいて二度の優勝を果たしたことは、TISSOT社が歴史と伝統に裏打ちされたウォッチメイキングの高い技術力を証明したこととなりました。

2013年度のコンペィションにはT-COMPLICATIONをベースに二つの特別調整モデルが参加しましたが、1位が878点(1000点満点)、2位が850点(1000点満点)という1位2位を独占するという快挙を成し遂げました。

TISSOT社は世界中で一番人気のある時計会社で、販売個数も世界一位を獲得してきましたが、日本では不思議と今までそんなに人気のある時計会社でありませんでした。しかし、ここ一年間に怒涛のように次から次へと矢継ぎ早にヒット商品を産み出しています。
POWERMATIC80 ETA C07.111は駆動時間が80時間という性能を備えなおかつクロノメーター規格に合格した高精度腕時計でも10万円を切るという想像だにしえない価格設定をしており、人気が沸騰して絶えず品切れ状態が続いています。

円安に為替変動がきたにもかかわらず値上げをしないで頑張っているTISSOT社の良心的会社気風に尊敬の念すら沸き起こっています。(ムーブメントメイカーETA社と緊密な関係があるからでしょう)ここ4,5年、スイスメカ式腕時計の中級品の価格中心帯が10万円前後から20万円前後へと高騰したことを思えばTISSOT社の時計が世界中の時計愛好家から支持されているのも当然と言えるかもしれません。

今秋発売された『HERITAGE THE 160th ANNIVERSARY・ワールドタイマー』も物凄い人気が集中して、お客様から注文を受けても納品が三ヶ月待ちという状態が続いています。『-COMPLICATION SQUELETTE』も今までにない斬新なデザインで世界中から注文が殺到し生産が追いつかない状態が続いていて、多くのお客様に待って頂いている状況です。

最近の情報によるスイスクロノメーター協会認定の1000個以上クロノメーター合格規格品を生産した時計会社は下記になります。

ロレックス社・・・約80万個
オメガ社・・・約52万個
ブライトリング社・・・約15万個
ミドー社・・・約6万個
ティソ社・・・約5万個
パネライ社・・・約2万8千個
ショパール社・・・約2万2千個
エニカ社・・・約1万5千個
ティトニー社・・・約1万5千個
インビクター社・・・約9千個
ボール社・・・約8500個
エルネストボレル社・・・約8500個
ユリスナルダン社・・・約8千個
ロジェデュブイ社・・・約3300個
コルム社・・・約3千個
タグホイヤー社・・・約2600個
ローマー社・・・約2千個
ラドー社・・・約1600個

となっています。ティソ社が5位にランクされた事に驚かされます。市場価格10万円前後の価格にもかかわらず、クロノメーター合格品を5万個も製造している事に驚嘆せざるをえません。