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2013年04月16日

●続時計の小話・第115話(時と年稿)

時刻を知ったり、時間を測定したり、日時が解る便利な機械を、人間は"時計"という重宝な物を生み出してきました。 機械式時計は生み出されてから、何百年という時間が経過して現在では、 これ以上の進化を求めれないところまで開発されてきたと言えると思います。まだまだ開発される余地があると言う人がいるかも知れませんが、小生はもう限界点にまで到達していると思われます。

地球の時間の経過(地球の歴史)を測る手立てに、年縞(ねんこう)という堆積物があります。

2006年に福井県三方五湖の一つ、水月湖から世界に類を見ない確かな測定が出来る年縞堆積物が発見されました。 年縞の縞模様を一層ずつ数える事で、高精度の過去の年代測定が出来ます。

水月湖の湖底には1 年に1 縞の綺麗な縞模様の筋目の土の層が完全な状態で保存されており、 降り積もった土の層は湖底から地下方向に続いています。 水月湖の湖底45mの年縞で約7万年の地球の歴史がハッキリ解るそうです。 誤差は僅か10~30年位だそうです。凄いことです。

水月湖年縞から52800年間の地震、津波、洪水、火山爆発、極度の寒冷等の天変地異、大規模な気候変動が解ります。 何故、水月湖の年縞から正確な地球の気候変動が解る原因として、水月湖以外の他の湖沼には、見られない特異性があるそうです。

水月湖は、若狭湾に近いにもかかわらず、海にも繋がらず、水月湖に流れ入る川も無いそうです。 また生き物が生きづらい無酸化状態が長期に渡って保たれてきたそうです。 また一年で水月湖の湖底が、0.7mmづつ下がっていったのが大きな要素だそうです。 いろんな好条件が偶然にも重なり合わないと出来なかったのです。

水月湖の年縞を研究しておられるニューカッスル大学の中川毅先生によると、 水月湖の年縞堆積物が世界のグローバルスタンダードとして、世界中の年縞研究者から認知されました。 水月湖の年縞から、推定された約1万年前に起きた韓国ウルルン島の噴火による火山灰も発見されました。 時計が人類の未来にどのような発展や変換をもたらすか想像だに出来ませんが、数千年後の人類が存続して生きていたと仮定して 現在のメカ式腕時計の精巧さや、正確さを知ったら現在の時計技術者がとてつもない機械を作ってきたと 未来人は驚嘆するに違いないと思います。

遥かな時の流れのロマンです。 ※オーストリア・ミュラートミングで現在行なわれている2013世界アルペン選手権ではオフィシャルタイマーは スイス・ロンジン社が担当しています。選手のゼッケン番号を示すコスチュームの上部にロンジンのロゴマークが 誇らしげに描かれていました。ロンジン社の業績は最近鰻上りで、このオフィシャルタイマー担当に結びついたのでしょう。