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2013年02月08日

●続時計の小話・第114話(ブルーノ・ゾンレー・グラスヒュッテ)

昨年末、12月よりドイツ製腕時計『ブルーノ・ゾンレー・グラスヒュッテ』を取り扱いを開始しました。12月14日にブルーノ・ゾンレー・グラスヒュッテ日本総代理店の石岡商会株式会社の社長であるウィリアム・ストーンヒル氏が東京より弊店に来店されました。(ちなみに石岡商会のネーミングは社長名ストーンヒルを日本名に変換した会社名だそうです。)

チェコ国境に隣接しているドイツの小地方都市グラスヒュッテは、人口が5千人ほどの小さな町ですが、
世界中の時計ファンにとって垂涎の的のブランド腕時計が沢山あります。

筆頭にはランゲ&ゾーネ、グラスヒュッテ・オリジナル、ノモス、ミューレ・グラスヒュッテ等の有名な時計工房が小さい町に集中しています。その仲間入りを果たすべく、2000年にブルーノ・ゾンレー氏がグラスヒュッテ地方に、ブルーノ・ゾンレー・グラスヒュッテを創業されました。

ブルーノ・ゾンレー氏は1957年に時計技術者の見習いを始め、その後、時計技術を磨きあげてドイツマイスターの資格を取り60歳を契機として自身の名前を冠にしたブルーノ・ゾンレー・グラスヒュッテ社を設立しました。
特に手巻きムーブメントが秀逸で、グラスヒュッテ伝統のアドルフ・ランゲが生んだ3/4プレートを採用し、微細精度調整がいとも容易く出来るスワンネック緩急針を備え、その美しい形状がユーザーにも見えるという心憎い演出をしています。

地板にはグラスヒュッテストライブという筋目を入れ、美しい光沢を放っており、輪列車の石をゴールドシャトンで押さえ、ブルースチールネジで留めるというグラスヒュッテ独特の仕様を施しています。角穴車にもノモスにも採用されている、2重サンバースト仕上げを施しており、渦巻き調の美しい模様が見られるというのもメカ式時計ファンにとってはたまらない魅力の一つです。この手巻きムーブメントと搭載したブルーノ・ゾンレー腕時計は独逸有名時計雑誌『ウーレン』で2010年度最高時計賞を授与されていて、ドイツでも高く評価されています。

自動巻きムーブメントはベースにはセリタ社を採用していますが、パーツの68%が自社製造比率でマニュファクチュールに近い仕上げをしております。スイスでペルラージュと呼ばれているスパリング装飾を地板に施しており、ローターにはグラスヒュッテストライブ仕様をしていて手抜きの無い作業をしています。それでいて価格は10万円台を維持しておりコストパフォーマンスに秀でています。今後の動きが注目されるブランドになると思われます。

社長のウィリアム・ストーンヒル氏が来店された時、弊店の修理作業場や修理設備や時計旋盤、タガネに強い関心を持っておられたので、色々お話をしてみると、氏はアメリカ時計学会AWIのC.M.W有資格者である、との事で驚いた次第です。アメリカにはCMWの下にCWという時計修理資格があり、またクロック専門の修理資格もあるとの事でした。

日本が大好きで、30年以上住んでおられコーヒーよりも日本茶が好きである、という京都大原在住のベニシヤ・スタンリー・スミスさんの様な人でした。今後弊店もブルーノ・ゾンレーの在庫を少しづつ増やしていきたい思っております。