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2013年04月16日

●続時計の小話・第116話(2012年、最近の日本腕時計市場の推移)

日本全体の時計売上高の推移は、2003年度、舶来品、国産品合計で約6,000億円の規模があり 2006年度は約7,100億円まで4年間に渡り売り上げ高が順調に伸びました。

スイス高級腕時計100万円以上の高級品が、東京有名百貨店時計売り場や、東京の有名時計専門店で飛ぶように売れていき時計業界では、『時計バブル』と揶揄されるほどのものでした。 (高級ブランドとして存在感を高める為に小売価格を一方的に値上げをしたメーカーもありました。)

2007年以降、サブプライムローン問題やリーマンショック等により、 7,100億円まであった国内時計市場の規模が2009年には年間売り上げ高は4,400億円(40%ダウン)まで落ち込みました。 売り上げ高が順調に伸びていくだろうと推察していた高級時計取り扱いの専門店の経営者は、 将来の伸びも継続してあると思い、在庫を多く抱え込んでいたものと思いますが、ここまで落ち込むとは推量出来なかった為に 輸入元への支払い等で相当苦慮されていたと各社・取引先セールスマンから伝え聞きました。

2009年度で売り上げ高は底を打ち、それから日本時計市場は右肩上がりに反転し、昨年度2012年度までの 4年間で少しづつではありますが売り上げが上向きになりました。 (日本時計市場ではこの4年間苦戦を強いられていましたが、 一方のスイス時計産業の売り上げ高は、落ち込むどころか、ずっと拡大基調が継続して絶好調の様相を呈しています。)

2006年前後の日本時計市場の絶好時には、海外から(主に中国の方ですが)の富裕層が日本に流れ込み、 多くの高級腕時計を買い求められた結果、あのような7,100億円もの金額になったものと思われます。

2011年の統計が出ましたが、国内の腕時計の市場規模は、4,460億円でした、その内訳は、インポート(と言ってもほとんどスイス製ですが)ウォッチ売上高は、約3,400億円で 一方、国産品ウォッチ売り上げ高は約1,100億円という数字が出ています。

全盛時に比べ、売り上げ高が落ちたとは言え、スイス高級腕時計は日本市場で圧倒的な優位な立場にいます。 (小生がこの業界に入った頃は国産品が70%以上の売り上げシェアを占めていました) ここ2~3年、100万円以上の高級腕時計のインポートウォッチが苦戦する中、中間価格帯(10万円前後~20万円前後)のスイス腕時計は 順調に売り上げを伸ばしています。

その中にスウォッチグループのハミルトンやティソのブランドが含まれています。 このグッドタイミングにティソ社からPOWER-MATIC 80が発売されたのは スウォッチグループ戦略的なマネージメントがあったものと思われます。

ハミルトンの日本販売高を世界一に押し上げたE氏をティソセールスマネージャーに任命して、 指揮をとらせるようにしたのはスイスティソ本社が本気になって日本でティソを拡販する決意を持ったものと思われます。 今後の日本でのティソの動向には注目する値があると思われます。 今まで世界市場で実力があり認められてきたティソが、日本では苦戦していた事が不思議であったと思われる のは過去の語り草になるかもしれません。