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2013年01月14日

●続時計の小話・第109話(シチズン社の最近の目を見張る動向)

シチズンホールディングスの戸倉敏夫社長が、3年以内にスイスの高級腕時計ブランドの買収をする方針を記者の前で 明言されました。 スイス高級腕時計ブランドの買収は、富裕層が著しく増加している中国市場で スイスのロレックスに代表される有名高級ブランドに対抗して、 自社所有の高級機械式腕時計ブランドを持って拡販するために打って出る意思の表れと思われます。

ここ数年、中国市場でのスイス高級機械式腕時計の販売額の増加は右肩上がりのすさまじい勢いで伸びています。 よって中国人の嗜好に見合った腕時計の開発もスイス各時計メーカーは踏み込んできています。 シチズン社はこの魅力あるチャンスを傍観しているのに耐えられなくなった為でしょうか、 スイス高級腕時計ブランドを買収するという思い切った決断をしたものと推察します。 買収金額は数十億円~数百億円を見込んでおられるそうです。

中国市場で人気のスイスブランド三本柱はロレックスとオメガ、ロンジンです。 日本ではロンジンはIWC、ブライトリング、タグホイヤーの後塵に拝していますが、 中国市場では、現在ロンジンは人気沸騰中との事です。 価格が良心的な適正価格の設定もあるでしょうが、中国で人気のある有名俳優を宣伝に使っているとの事で、 それが大きくイメージアップに繋がったのでしょうか。

前回に書きましたがシチズンはスイス・プロサー社を買収し子会社のムーブメントメーカー『ラ・ジュー・ペレ』を 傘下に収めたばかりなのに、また新しい手を打った事に驚かされます。 恐らく将来的に中国時計市場がアメリカに匹敵するほどの大きなマーケットになる、 と想像してライバルメーカーであるセイコーに遅れを取らないように先手を打ったのでしょう。

この姿勢が大きく評価されていくかは先を見てみないことには解らないでしょう。 将来的には中国国内でシチズン販売店舗を2400店にするとの事です。 旅行雑誌で得た情報ですが、ヨーロッパでの観光地やアメリカのリゾート地では ロレックス、オメガと共に取り扱いブランドが増加傾向にある腕時計はティソ、タグホイヤー、ロンジン、シチズン が積極果敢に増えていっているそうです。

スイス・プロサー社傘下の『アーノルド&サン』は日本価格で100万円以上する高額商品が多く占めている為に その中間価格の50万円前後の価格帯に魅力のある腕時計が揃っているスイスブランドをシチズン社が狙っていると推察されます。

買収したスイスブランドに『ラ・ジュー・ペレ』製のムーブメントを搭載する事も容易に考えられます。 それにしてもシチズン社は大いなる決断をしたと驚かされます。