●続時計の小話・第55話(今後のオメガ社の動向に注目)
一番ポピュラーな機械式腕時計の両雄と言えば、誰もが連想するのは、ロレックスとオメガです。
1960年代においては、ロレックス社とオメガ社は、クロノメーター合格品数をスイス国内では一位、二位を争うほど数多く毎年生産して、お互いに競い合って進歩してきました。
一時期、オメガ社はクォーツ・クラッシュの大打撃を受けロレックス社よりも少し立ち後れて後塵を甘んじてきました。ロレックス社は完全なマニュファクチュールで、自前の機械をいつも開発して搭載して発売してきましたが、オメガ社の腕時計の中には、一部に優秀なETA社の汎用機械を搭載してきたことがオメガのファンの方にとっては、少し不満の点であったかもしれません。
ジョージ・ダニエル氏の発明したコー・アクシャル脱進機をETA社のムーブメントに採用して、3.4年前から本格的に発売してきました。
ここにきて、オメガ社が『デ・ビル アワービジョン』腕時計に完全な自前の機械を開発して、新型コー・アクシャル脱進機を搭載して発表致しました。この完全な自社開発したオメガCal.8500(直径29mm、毎時25,200振動)はツインバレルを採用し、パワーリザーブは60時間という魅力のある商品に仕上がっています。地板等の研磨も美しく溜息が出るほど完成度の高い腕時計に仕上がっています。
調速機には、フリー・スプラングテンプを採用して、調整用マイクロスクリューを出し入れする事により、慣性モーメントを変化させて緩急調整をするという方式をとっている為に、秒単位での精密精度調整が可能になっています。
また、テンワの直径が10.6mmと大型化し、テンワをクロームによりブラックメッキを施し、今までにない異彩を放っています。テンプ受けもツーブリッジ方式を採用して、歩度の安定に寄与する方式も採用しています。
将来的には、このオメガCal.8500を基礎として、GMT機能や、パワーリザーブ表示機能や、ビッグデイト機能を持った新作の腕時計が出てくるものと想像しています。本当に久しぶりにオメガ社らしいムーブメントを新開発してきた事に喜びを隠せません。
今後のオメガ社の動向は注目に値しますが恐らくはショパール社のような高級時計会社を目指しているものと思います。オメガ社のこれからを注視しなければならないでしょうが、恐らくETA社のムーブメントを搭載する事を卒業して、自社開発のオメガCal.8500系のムーブメントをシーマスターやコンステレーションに採用していくものと思います。
一転、残念な事ですが、小売価格設定が高いのでユーザーの方にどれだけの支持を今後得られていくか?その努力が必要になると思います。