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2007年01月21日

●第88話(2001年バーゼル・フェアについて)

今年3月末にあった、恒例のバーゼル・フェアの情報を集めてみますと、スイスの一部の有名時計メーカーは、トゥールビヨン・永久カレンダー・ミニッツリピーター等の複雑時計を競って開発し、いろんな意味で話題を独占的に集めました。あたかもコンプリケーションでなければ時計として魅力が全くないような雰囲気だったそうです。リズム時計のS氏のお話によると、セイコー・シチズンのブースは目立たない隅の方に追いやられて寂しかったそうです。

確かにトゥールビヨンの天府の動きは面白くて魅了されますが、はたしてどれくらいの人が購入出来るのでしょうか。云百万円から数千万円もする腕時計を、気に入ったからといってポンと衝動買い出来る人が日本中でイヤ世界中でどれほどおられるでしょうか。

その点ROLEX社の新製品は、日本人でもちょっと無理すれば買える品揃えがしてあったそうです(ま、それでも高額ですが)。ROLEX社が大変な世界トップクラスの技術力がありながら、今まで複雑時計を敢えて作って売り出さないのは、あくまでも実用本位のものに技術資源力を集中したいが為かもしれません。一部の裕福なマニアだけを対象とした時計は作らないという企業姿勢に、一般庶民の私は共鳴を覚えます(はっきり言って新品で25万円前後で買えるエアー・キングのメカ・ムーブメントは、この価格帯のスイス時計の中では群を抜いて素晴らしく良く、他に大きく差を付けていると思います)。

セイコー舎は、数年前トゥールビヨンの試作品を完成させましたが、結局発売に至らなかったのは何故なのでしょうか(その替わりにメカ式のフライトマスター・クロノグラフ 35万円を開発し、発売に漕ぎ着けましたが)。市場調査の結果、かんばしくないデーターが出たのでしょうか(日本のユーザーの人々にトゥールビヨンに対して強い関心が存在しなかったのでしょうか?それとも余り知られていないからなのでしょうか)。私は是非とも価格が50万円を切るトゥールビヨン腕時計をセイコー舎に作ってもらいたいのです。あの機構は確かに複雑ですが、セイコー舎にとって手に負えないモノではないはずです。セイコー舎の蓄積された技術力・生産力からして不可能ではないはずなのです。

50万円を切るトゥールビヨン・セイコー腕時計が世に出てきたら、それこそ世界中の時計ファンのセンセーションを巻き起こすに違い有りません。未曾有の不景気の日本の時計業界にとって、効果抜群のカンフル剤になるのに違いないのです。日産が12年前、高級自動車シーマを新発売したときのシーマ現象のようになるような気がします(一方、スイス時計業界は絶好調です。30年間で日本とスイスでは全く立場が逆転してしまいました。もう完全にメカ式腕時計が復権したと断言してもイイと思います。クォーツは数では圧倒的に多いですが、金額ペースでは追い抜かれているのではないでしょうか)。私もトゥールビヨン・セイコー腕時計が出てきたら、飛びついて1個買うに相違ありません。頑張って下さいセイコー技術陣の皆さん。30年前の天文台コンクールでスイス時計に圧勝したときのように、進取の精神を取り戻して欲しいと思います。

今年のバーゼル・フェアで私にとって大きく関心があったのは下記の時計です。
・バセロン・コンスタンチン マルタグラン・クラシック 110万円(手巻き・自社ムーブ・K18ケース)
・ロンジンの薄型自動巻ムーブを搭載した品番990 65万円(1977年以来の復活・高精度の出る高振動ムーブのリバイバル)
・タグ・ホイヤーモンツァ(ゼニスのエルプリメロ搭載) 価格未定(おそらく予想ですが25~30万円位でしょうか)
・グランドセイコー(セイコー舎創業120周年記念限定モデル・K18側 手巻き) 88万円
・シチズン カンパノラ コスモサイン(452個の恒星、119個の星雲を文字板に表示・夢があるクォーツです)18万円
・シチズン カンパノラ パーペチュアル カレンダー(過去未来100年間のカレンダー表示機構搭載、メカ式にしたら云千万円するでしょう) 20万円  

以上です(上記の品はまだ市販されていません。発売時期は今秋でしょうか)。余りにも高額な手の届かない時計には関心は沸きませんでした(だって、欲しいと思ったところで所詮、無駄な足掻きになるのですから)。