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2007年01月21日

●第86話(時計技術通信講座の受講生の方について)

3月21日に東京のSさん、4月18日に浜松市のMさん、千葉県市川市のIさん、大阪のYさんが、第1回時計技術通信講座を受けるために遠路はるばる石川県の当店にご来店下さいました。

最初に19セイコー懐中時計Cal、9119A 15石(国鉄昭和40年代の車掌区・機関区・保線区の標準時計)の分解・天真入れ替え・洗浄・組立・注油をそれぞれしていただきました。脱進機・調速機の調整は難しいので、今回は見送りました(話が変わりますが私の兄はとても器用な人だったため、大学時代19セイコーの分解掃除を父に教わり、修理のアルバイトをしておりました。滋賀県・長浜のイソザキ時計店は、当時国鉄の指定店だったので、東海道本線北陸本線分岐点の米原駅の国鉄職員さんが持っておられた19セイコーの修理が、毎月何十個と一杯きておりました。7石のタイプで、ほとんどが天真入れ替え・ゼンマイ切れ・ホゾかしめの修理)。

4人の方とも無事にテンプ・ガンギ・アンクル等の心棒を折ることなく作業をこなされました。

市川のIさんはそれから手巻き腕時計ノンCal 17石の分解・洗浄・組立・注油をされ、浜松のMさん大阪のYさんがセイコー自動巻腕時計Cal、6106C 25石の分解・洗浄・組立・注油をされました。4人の方とも無事作業を終え、ムーブは後日見てもしっかり動いておりました。

初めて懐中・腕時計の機械をいじられたにもかかわらず、難なく作業が進んで行ったので、私は4人の手先の器用さに吃驚いたしました。1日中作業をして、ピンセットで細かい部品を飛ばされた方が一人もいないことにただただ驚愕しました。余程、小さいときから時計が好きで、細かいプラモデル・トランジスタラジオ・置き時計の組立等をしてこられたものと推察いたしました。そうでなければあんなにうまくいくはずがありませんもの。僅か1日でここまで進むとは想像だにしませんでした。あと3回の時計技術講座でどこまで腕を上げられるかとても楽しみです。

次回からは肝心要のヒゲゼンマイ調整・アンクル爪の注油等の作業に進めたいと思っておりますが、果たしてこれまでのように順調に運ぶかどうか期待と不安が交錯いたします。昔から好きこそ物の上手なれと言いますが、それを地で行くような4人の方でした。時計に対して並々ならぬ情熱と熱意が感じ取られました。時計技術通信講座を受けられた動機をお聞きすると、自分の持っている腕時計を自分の手で直してみたいと言うことでした。

余談
19セイコー懐中時計ファンの方でアンティーク・ショップで買われる予定の人は、S40年代製造の15石のCal9119Aのムーブが入った時計を買われるとイイでしょう。7石の19セイコーは、2~3番車のホゾ穴がへっているのが多く見られますので避けた方が賢明です。できたら7石のタイプは買わない方がイイでしょう。