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2007年01月21日

●第85話(ロレックスの修理について)

先月、私の恩師K先生(前日本時計師会幹事・CMW)のお店を訪ねて技術指導を受けながら、いろいろとお話をしてきました。その中で非常に気になることがありましたので、ここにお知らせしたいと思います。

昨年までロレックスを自前で完全修理の出来ない時計店(ほとんどの時計店はそうですが)は、預かったロレックスをROLEXサービスセンターに修理依頼をしておりました。ROLEXサービスセンターに出しますと1割の受付手数料金をもらえました。
例を挙げますと、お客様渡しOH代金40000円としますと、時計店には9割の36000円でROLEXサービスセンターから仕上がってきたわけです(時計店は4000円のリベートが入った訳です)。

それが昨年末よりその制度が撤廃され、時計店の1割のマージンでさえも無くなってしまったのです。ロレックスの修理を預かっても、うま味が全くなくなってしまった時計店は、安く請け負う市中の仲間修理屋にロレックス修理を依頼するようになったのです。

一部の仲間修理屋の中には、超音波時計洗浄機も歩度測定器もないというお粗末さで、いい加減な手抜き作業をしているということなのらしいのです。全て分解しないで脱進機のみを洗浄して仕上げているらしいのです。その事を聞いてビックリしました。修理料金の安さにつられてそういう雑な仕事をする仲間修理屋に修理依頼する時計店も時計店なら、ユーザーの方も修理料金の安さばかりに目を捕らわれて、自分の大事にしているロレックスの機械を滅茶苦茶にされてしまう可能性がある店には、よくよく吟味して絶対出すべきではないのです。

今までROLEXサービスセンターに出していた時計屋が、利益の出る仲間修理屋に修理を出すようになってしまったために、ROLEXサービスセンターに来る修理がめっきり少なくなり、今では1ヶ月待ちで仕上がると言うことらしいのです。それまでROLEXサービスセンターでは大変混んでいて、3~4ヶ月の修理預かり期間だったのです。

このことを考えてみますと、少しROLEXサービスセンターの判断は軽率で横着だったような気がします。やはり少しの手数料を、修理を受け付ける窓口の時計店に支払うべきだったのです。のちのちこの修理代金システム(受付窓口の時計店マージン0円)は大きな問題になる可能性があります。

インターネットでいろんな時計店を検索してみますと、ROLEXオートマのOHを15000円~20000円でする店に遭遇しますが、ユーザーの方は修理値段ばかりに捕らわれることなく、充分いろんな点を比較考慮すべきではないでしょうか。安いにこしたことはないのですが、中身の修理作業が手抜きすることなく完璧になされている店かどうか、その店の姿勢を判断すべきだと思います。孫の代まで60年以上の使用に耐えられるROLEXの修理は、しっかりした店かROLEXサービスセンターでして欲しいものです。