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2007年01月21日

●第9話(時計職人列伝)

ワールドフォトプレス刊行の世界の腕時計に「マイスターと呼ばれる男達」という読み物が十数回にわたり連載されました。評価のわかれる点もあるかもしれませんが、その連載に登場した人以上の素晴らしい職人が たくさんおられる事をここで紹介したいと思います。

私などが足下にも及ばない、偉大な時計職人が一杯います。井上信夫先生・角野常三先生・近江時計学校の行方先生・飯田弘先生・飯田茂先生(時計旋盤の名人と言われた人。日本時計師会元会長)・菅波錦平先生(村木時計発行の時計技術という月刊誌のメインライターで、本当に熱心な先生でした)・小野茂先生(時計理論研究家)・ 小原精三先生・多田稔先生・加藤日出男先生等の歴々とした方がおられます。

その人達は日本の時計修理技術を向上させるために骨身を惜しまず、自分の取得している技術を伝承させ、活躍された偉大な先生達です。昭和40年代初頭から始まった国家検定時計修理技能士試験を広め、多くの受験生の講習を無料で引き受けて、技術レベルを上げた多大な功績のあった人は、上記のCMWの先生達なのです。私の父も長年の経験と勘で仕事をしていたのですが(当時店には1冊の修理技術の本も無かったのです)行方先生の講習を受け、1級時計修理技能士を合格後、理論の大切さを知ったのです。その当時は、時計は大体時間が合えばいい、動けばいい、というレベルの技術を持った職人がほとんどでした。父もその中の一人でした。外国では、イエンドフリッキ氏・ドナルドカルレ氏・ヘンリーフリード氏等がおられ、時計技術に関する著作を出版されておられます。私は既に絶版となった時計修理技術に関する本を多数持っています。将来、弟子を持った時に、その本を見せていこうと思っております。