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2007年01月21日

●第8話(時計工具について)

クォーツが普及した現在、ほとんどの時計店では自店で修理をしなくなり、当然、 修理設備を備えた店もかなり減少しております。以前では時計店の3種の神器と言う物があり、それを備えているかいないかで、消費者の店の評価が別れるポイントでした。
 
1.超音波時計洗浄機(現在の価格では約80万円)回転しながら超音波を発する器の中で、自動的に洗浄する機械
2.歩度測定器(水晶発振腕時計用テスター:約40万円)(機械時計専用テスター:約20万円)時計の誤差を測定する機械
3.時計専用小型旋盤機(約20万円)
天真・巻真等の別作に使用する機械 3種の神器をご覧になりたい方は、「修理設備」のボタンをクリックして下さい。

その他には当然、ピンセット(10種類ほど。1本約5千円)・ドライバー(8種類ほど)・油差し・タガネ(天真入れ替え等に使用。約11万円)・時計用側開閉器(約10万円)・天府振れ見器(天輪の上下の振れを修正するときに使用)・天府片重り見器(重力誤差を受けないように天府の重さのバランスを見る)・防水試験器(約10万円)・電気万能テスター・時計油・時計用ルーペ・剣抜き器(針をはずすときに使用)以上、当店の修理設備を見ただけでも、主に上記の設備工具が必要です。これから若い人が時計修理を会得して、開業にこぎつけるには大変な費用がかかり、それに見合った仕事が来るかどうか不安な要素です。

国産手巻き機械腕時計をオーバーホールする時間は、3時間ほどかかります。国産自動巻カレンダー付き腕時計をオーバーホールする時間は、4時間ほどかかります。水晶発振腕時計をオーバーホールする時間は、2時間ほどかかります。ロレックス等の精密機械腕時計をオーバーホールする時間は、連続で6時間ほどかかります。部品数も100以上を上回る複雑時計になると、精神集中して仕事をしなければならず、 かなり疲労を覚えるものです。
修理料金は、お客様によって高く思われたり、安く思われたりしますが、 職人としては今の料金はほぼ適切な価格だと思っております。

雑談ですが、先日当家の雨どいがはずれて水漏れする為、2~3の業者に修理値段を問い合わせたところ、どの業者も最低3万円はかかると言われました。あまりにも値段が高かったので知人の工務店に頼んだところ、時間にして5分くらいで簡単になおしてもらいました。確かに水回り関係の料金は高いと聞いていましたが、ビックリしました。それと比較して、時計修理料金は時間・労力等などから決して高くはないと思います。