« 第54話(私見・スイス時計のランク付け) | | 第56話(グランドセイコー(機械式)の生産動向について) »
« 第54話(私見・スイス時計のランク付け) | | 第56話(グランドセイコー(機械式)の生産動向について) »
2007年01月21日

●第55話(スイス時計メーカー:ユリス・ナルダンについて)

イカリのマークのナルダンと言えば、泣く子も黙ると言うほど、数あるスイス時計の中で光芒を放つ堂々とした王者の貫禄があるメーカーでした。40~50年ほど前には、今人気絶頂のロレックス・オメガなど敵ではなく、スイス時計の頂点を極めておりました。1940年代に開発成功したクロノグラフのムーブメントはパティックにも採用されておりました。私の父は感情を表に出さない人でしたが ナルダンの修理を預かると嬉しさのあまり家族中に見せて回ったものです。「ナルダンがやってきたぞー」と。

あの寡黙な父でさえナルダンを預かると喜びを抑えることが出来なかったと思われます。私がIWCを好きなように父はナルダンが一番好きだったのでしょう。その頃で年に数個位しか修理依頼はこなかったような記憶です。

ムーブメントは非の打ち所がない完成された時計でした。日本の市場に余り出回っていない影響でしょうか、現在私の店では残念ながらほとんど修理依頼はきません。
ナルダンは1846年ユリスナルダンによって、スイス:ル・ロックルにて創業され、150年以上の歴史あるメーカーです。ユリスナルダンと言えば、ゼニス・GPと共に高精度のマリンクロノメーター製造メーカーで特に有名で、水晶時計が出現するまで100年間にわたり40カ国の海軍に公式採用された実績を持つ名門中の名門です。
万国博覧会、国際見本市等での晴れある受賞回数は4300回以上にのぼり、またいろんなコンクールで18回のゴールドメダリストにもなっています。この功績は他のメーカーの追随を許さないナルダン独壇場のものです。

こんな名誉あるナルダンでさえ例にもれず、1970~80年代のクォーツ・クラッシュにより会社の存続が瀕死の状態になり、長い間、沈澱しておりました。高精度の機械時計を製造しているメーカーほどクォーツ・クラッシュの大ダメージをもろに受けてしまったのです(精度競争するとメカ時計はクォーツの敵ではないのです。精度では惨敗するに決まっています。最近思うのですが、クォーツはマイクロエレクトロニクスの大量生産の工業製品で、機械式腕時計は芸術嗜好的手作り製品だと思うようになり、範疇を分けるべきではないかと思うようになりました)。

ナルダンは今は年間生産本数は2万本前後でしょう。ナルダンの逼迫した状態を救ったのが歴史物理学者のオクスリン博士です。氏の協力のもと、ナルダン復活・命運をかけて1985年出来上がったのが驚異の超複雑天文腕時計3部作アストロラビウム・ガリレオガリレイ、テリリウム・ヨハネスケプラー、プラネタリウム・コペルニクス(630万円~920万円)なのです。オクスリン博士のことは以前テレビで取り上げられ私は驚愕しつつ見ましたが、ブレゲの再誕ではないのかと思いました。博士は発想、設計、製作、組立、微調整まですべて一人で行う、現在では世界最高峰の天才的時計設計及び技術者なのです。

ここ数年企業活動は活発で、サンマルコクロアゾネ(金線七宝)シリー(180~230万円)、GMT±パーペチュアル(350万円)、マリンクロノメーター1848シリーズ(94万円)等を開発発売しています。価格が少し高いのが難点ですが、中にはサンシアーSS自動巻159000円という手頃な価格の腕時計もあり、ナルダンを一度持ってみたい方には入門品としてお薦めです。

このようにしてナルダンは再びスイス時計業界の王道を確実に歩き始めたのです。
いつの日にかロレックスの人気を凌駕する日も遠くないのではないかと思います。
流行に左右されない真の時計愛好家の人々はナルダン・IWC・GP等を買い求めるのではないのでしょうか。

第1回問題集25問
第1問 世界最古の時計メーカーはバセロン・コンスタンチンである(正誤)

第2問 世界最初にクロノメーター腕時計を作ったのはオメガ社である(正誤)

第3問 完全防水の腕時計を世界で最初の作ったのはセイコー舎である(正誤)

第4問 日本で最初にクロノメーター腕時計を発売したのはシチズンである(正誤)

第5問 セイコー最初の10振動のマーベル36000腕時計の石数は何石か。
     下記の中から選んで下さい。
     イ、17石  ロ、21石  ハ、23石  ニ、28石  ホ、35石

第6問 鳩時計を専門に製造していた手塚時計(株)はウエストミンスターチャイム置き時計も作っていた(正誤)

第7問 ジャコ・ツールと言う時計修理工具はヒゲゼンマイの縦ぶれ修正に使う工具です(正誤)

第8問 クロノメーター高精度の腕時計は重力の影響を全く受けない(正誤)

第9問 5振動数の腕時計で歯数15枚のガンギ車は1日何回転しますか。
    下記の中から選んで下さい。 ヒント:5振動は1時間にすると18000振動です。テンプ2振動にガンギ車は1枚進みます。
     イ 7200、 ロ 14400 、ハ 28800 、ニ 36000、ホ 72000

第10問 腕時計の縦姿勢誤差でリュウズ左は最重要である(正誤)

第11問 天真の硬さはビッカース硬度(Hv)300が最適である(正誤)

第12問 メカ腕時計のクロノメーターを一番多く製造してきた時計メーカーはロレックス社である(正誤)

第13問 ユリス・ナルダンは優秀な船舶クロノメーターを製造してきた世界で有名な時計メーカーです(正誤)

第14問 水晶時計を世界で初めて作ったのはアメリカのベル研究所である(正誤)

第15問 大航海時代、正確なマリンクロノメーター(船に乗せる精度の高い時計)が求められたわけは、1秒狂うと船位が約0,4kmずれたから(現在では六分儀を使用する)(正誤)

第16問 トゥールビヨンとはヒゲゼンマイの温度補正をする装置である(正誤)

第17問 自動巻腕時計の仕組みはウィッグ・ワッグ式が多い(正誤)

第18問 アンティーク懐中時計に使われている鋼ゼンマイが切れるのは、ほとんどサビが原因です(正誤)

第19問 テンプの振り角が小さいほど、姿勢差が大きく表れます(正誤)

第20問 巻き上げブルゲヒゲは切りテンプと組み合わせなければ全く意味がないものです(正誤)

第21問 ヒゲゼンマイをヒゲ玉に取り付けるピンニングポイントの位置は、姿勢差にとって、とても重要です(正誤)

第22問 グランドセイコーの一番安い廉価版の定価は9万円である(正誤)

第23問 シチズンの最高級品ザ・シチズンの一番安い廉価版の定価は10万円である(正誤)

第24問 筆者(磯崎輝男)はスイス時計メーカーの中でオメガの時計が一番好きです(正誤)

第25問 ブライトリングのムーブメントはかの有名なエルプリメロである(正誤)

以上の25問ですが易しいものもあれば、少し専門的な難しいものもあったかと思います。


● 時計の小話 第1回問題集25問 解答 ●

第1問 (誤)ブランパン

第2問 (誤)ロレックス

第3問 (誤)ロレックス

第4問 (正)

第5問 答ハ

第6問 (正)

第7問 (誤)天真ホゾの修正に使用

第8問 (誤)どんな高級なメカ時計でも姿勢差の影響はでます

第9問 答ロ

第10問 (誤)リュウズ下と左と上が正しい

第11問 (誤)ビッカース硬度(Hv)600

第12問 (正)

第13問 (正)

第14問 (正)

第15問 (正)

第16問 (誤)脱進機姿勢誤差を緩和する装置

第17問 (誤)ハーウッド式

第18問 (正)

第19問 (正)

第20問 (誤)

第21問 (正)

第22問 (誤)10万円

第23問 (正)

第24問 (誤)IWC

第25問 (誤)