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2007年01月21日

●第49話(アンティーク・ウオッチ購入のアドバイス)

読者の方から多い質問が、アンティーク・ウオッチをどうすれば失敗せず上手く買えるかという事です。高いアンティーク・ウオッチ品を買う時は、尚更注意していろんな点検をした方がイイでしょう。下記に皆さんが簡単に出来る注意事項を列記してみますのでご参考にして下さい。

※古いオリジナルのバンドがついている場合、腕時計のケースの足に取り付けてあるバネ棒が 錆び付いてしまって、取り外しができない場合があるので注意が必要です。一度バンドがはずれるか確認の必要有りです。

※アクリル風防の場合、古くなると乾燥して細かいキズが入りひび割れを起こしている時があるので、キズミ(ルーペ、拡大鏡)でよく見ましょう。角型腕時計のガラスはなかなか入手困難な時があるので、ヒビ割れには注意しましょう。

※手巻き腕時計の場合、一度リュウズでゼンマイを巻いてみて、ガリガリギジギジする音の時は、キチ車ツツミ車が破損しているので買わない方がイイでしょう。リュウズを引っ張って針合わせをする時、軽く、抵抗無くリュウズ・針が回れば、筒車がゆるんでいる為に大幅に遅れる時があります。針を回してみてかなり重い場合は、日の裏機構の歯車が錆びていたり歯がこぼれていたりするので避けた方がイイでしょう。
リュウズは消耗頻度が高く、よく取り替えている時があるので純正パーツが付いているか確認する。3針の場合、針が擦れて重なる時もあるので確認する。リュウズ受けのパイプがしっかりケースにはまっているか、これもよく見ましょう。はまっていない場合、防水・防汗・防塵機能はゼロです。

※オシドリが摩耗しているとリュウズを引いた時に抜けてしまうので、強く引っ張っても抜けないか確認。

※自動巻の場合、手で回転状に振ってみてローターを回して、スムーズに回転錐が回るかどうかみて見る。ケースにあたっているような音がする時は修理の必要有りです。振ってみてカタカタ音がした場合、ネジか何か他のパーツが外れている時があります。手巻きも可能な自動巻の場合、手巻きで軽くゼンマイが巻けるかどうか確認する。

※高級アンティーク・ウオッチの場合、文字板に複製が利用されている時があるので、目利きのできる人に見てもらいましょう。

※めぼしい時計がある時は、ストップウォッチ機能が付いたデジタルウォッチをアンティークショップへ持っていき、時間の実測をしてみる。ゼンマイを半巻の状態で平姿勢、リュウズ下(3時)の縦姿勢で各1時間ずつ実測してみる。1時間に3秒以上誤差(日差72秒以上の誤差になります)がでたら、やめた方がイイでしょう。平姿勢、縦姿勢の機械の音をよく聞くのもイイかも知れません。音の調子が違っていたり、音が悪ければテンプの振り角に問題有りです。振り角が充分でない場合、1日以上動かない時があります。

※文字板にシミ、汚れ、錆がひどいとき、過去に水が入った恐れがあるので警戒の必要有り。

※裏ブタにひどいキズがある場合、未熟な職人がいじった事が考えられるので、ムーブメントの中にもかなりのキズがあると判断した方がイイでしょう。

※しっかりした技術者が分解掃除済みのアンティーク・ウオッチを買われた方が安心でしょう。店に問いただすべきでしょう。

※できれば通信販売で購入しないで、手にとって納得してから買われる方が失敗が無いでしょう。

※希少価値があるとか、将来値上がりがするとか、滅多に手に入らないとか、甘い言葉を言う店は避けた方がイイでしょう。

※店員の人が時計に詳しく、どのような質問にも厭な顔せずに親切に答えてくれる店で、技術的に裏付けのある所で購入した方が後々のアフターが安心して任せられると思います。

※相場より余りにも価格が安いものに飛びつくのは大変危険です。必ずや落とし穴が必ずあります。ただ値上がり目的のみで購入されることは邪道だと思います。
どのような人にも必ず良いところがあるように、どんな機械時計であれ必ずや他にない良いところ何かあるはずです。それを見つけだすのも一つのアンティーク・ウオッチ蒐集の王道だと思います。

※所有して動かなくてもイイ、眺めているだけで満足されるアンティークファンは別にして、それを日常に使用したい人は、機械時計は寿命があるので出来るだけ製作年代の新しい物を買う方がイイでしょう。50年以上前の機械式腕時計は、時計としての寿命は尽きていると思った方がイイでしょう。

日本では若年層の人々にアンティーク・ウオッチ・クロノタイプが人気がありますが、欧米では年輩の方々に懐中時計に人気があり対照的です。私はアンティーク・ウオッチでは2針の手巻腕時計と懐中時計に本当のいい味があると思っておりますが、読者の方は如何お思いでしょうか。
私も余裕ができたらパティック・バセロン・オーディマの2針の手巻腕時計や、インターの懐中時計を蒐集してみたいと思っております。